第8話

 ホン・シオンの名は、聞いたことがある。

 シュンジュは、あえて知らないふりをした。

 その方が、シオンの懐に入り込みやすいと考えた。

 案の定、都まで同道できる事になった。


 道中、シオンは、現皇帝への不満をくちにした。分家の者が、そんなことを言って大丈夫か?とも思ったが、ここは、俺も同じことを思っていたんだ、と同調しておいた。こいつに上手く取り入れば、俺も貴族の仲間入りが、できるかもしれない。

 シオンも、ドラゴンの牙を求めていたことを考えれば、大方、皇帝ホン・シンの命で、不老不死の秘薬でも求めに来た、というところだろう。

 案の定、ドラゴンの情報を持っている人物に、心当たりがないか、訊ねてきた。

 昔、砂漠にいたときに、ドラゴンの卵の世話をしている奴がいた、ということを伝えると、とても興味深そうに、根ほり葉ほり聞いてきた。あくまで、俺の知り合いのことだから、俺自身は、そこまで詳しくないんだ、と言ってやると、少しがっかりしたようではあった。

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