第5句

 古都の布おはぎ整えしるしとす


 §


 古都の布とは奈良の蚊帳ふきんのこと。「蚊帳ふきん」でも良いのですが「蚊帳」が夏の季語のため混乱を避けるために「古都の布」にしました。

 奈良の土産物として蚊帳を使った布製品が多くありますが、なかでもふきんは人気のようです。

 かく言う私は、奈良在住時に障害者施設で蚊帳ふきんの縫製をしていました。いや、縫製だけじゃないな。裁断からパッケージングまでやっていたからほぼ全ての工程か。


 そんなわけで、度々「端切れ」を頂戴していたのだけれども、吸水性は良いし丈夫だしすぐ乾くし。とても使い勝手が良いんですよね。

 俳句にした通り、おはぎの成型にも便利。

 ご飯茶碗に濡れたふきんを被せてある程度張りを持たせるように土台のご飯茶碗ごと保持し、その上に餡子を塗る。そして餅の部分(私の家ではもち米のみの半殺し)を乗っけてふきんで包むようにして軽く絞ると綺麗に出来上がります。

 ただ「ふきんで仕上げました」という証拠の網目模様がくっきりと餡子に付きますけどね。それもまた、見方によれば作り方を教えてくれた人の顔も思い出させてくれる「しるししるししるし」なのかな。

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