第2話 宴の中で

燭台の炎が揺れる。

集う人々の影を板葺きの床に落としている。


ガヤガヤと。

曇る声が重なっている。


夫である中大兄皇子の隣に。

私は座りながら一人の男を見つめていた。


大海人皇子。

かつての私の想い人。


春間近い草原を。

二人は走っていた。


梅の甘い香りに包まれて。

私は、貴方のものになった。


ギュッと。

広い背中を抱きしめながら。


貫いた。

熱い想いが蘇り。


見返す。

貴方の瞳に。


濡れてしまうのです。

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