第8話

僕は間違えていた。昨日とてもエレガントだと思った女性と今朝 僕に挨拶してきた女性が同じ人だと思っていた。少し様子を見ていると今日の女性は昨日の彼女と違ってあまりにも元気で 動きも早かった。明らかに別人だった。同じような黒とエンジのジャージを着ていたので 間違えてしまった。 髪形も似ていて おそらく 年齢も同じくらいだろう。同じ学校の同級生なのかもしれない、みんな同じように見えてしまう。マスクのせいもあって余計に分かりづらい。今日来ている子は昨日の娘に比べてあまりにも元気で ハキハキしすぎていてこちらが戸惑ってしまう。昨日の彼女が見せた反応は最後に 小さく笑うとかそんなものだった。とにかく自分から動く というような 今日の彼女とは真逆の感じだった。しかしながら 遠目に見るには ほとんど同じように見えてしまう。 体つき 髪型 そういったものが同じような感じだと、同じ年くらいの女の子はみんな同じように見えてしまう。昨日の子は本当に エレガントで綺麗だった。今日のあの子も酒井なんとかという子もまあまあ可愛いんだろうけど僕としては昨日の子だ。最近若い子が急に増えた。 なぜか女の子ばかりで 僕が分かっているだけでも4人ぐらいは増えている。若くて可愛らしい女の子が増えていくのは結構なことだが、そんなに人間が必要なのか 僕にはよくわからなかった。いま僕に一番大事なのは 昨日の彼女だ 。昨日の彼女はいつ来るのか それを知ることだった。パッと見 同じような子が3〜4 人増えてしまったので よくよく調べないと。随分前にいた浜辺美波 に似た女の子も良かったけど、今度の女の子の方が僕には興味があった。とにかく大事なのは月曜日に来ていたエレガントな彼女ともう一度会うことだ。彼女も子供達には人気があって 特に女の子たちから 常に3〜4人で囲まれていた。時折 周りで騒ぐ男の子たちには苦労していたみたいだけど でもまあ 彼女はちゃんとやっていた。将来は 教員か 介護関係にでも進むつもりなんだろう。僕は彼女のことをまだ ほとんど知らない。とにかく顔も体も何もかもが小さく整っていてとてもエレガントな感じだというだけだ。そして おそらくまともな恋愛をしたことがないだろうから彼女は僕の言うことを素直に聞く だろ。まだ彼女の唇も見えていないので肉体的にどうという気持ちはない 。だからおそらく彼女もなおみと同様 思わず奪ってしまいたくなるような素敵な唇をしているのかもしれない。とにかく今のところ何もかも 受け身な感じの彼女が僕にはとても良かった。彼女は何に対しても自信がない感じでまあそこが良かった。何でも積極的すぎるのはどうかなと思ってしまう。少し自信投げに背を丸めて という感じが 僕は好きだった。綺麗に小さくまとまった顔立ちがこれもまた慎み深くて素敵だった。何時もずっと僕に従って来てくれる感じがとても良かった 僕は今回はそんな彼女を求めてる。おそらく女子校出身の彼女は恋愛はそんなには経験していないだろうし、素直な性格がそのまま僕に付き添ってくれることだろう。恋にもならないぐらいの恋でもいいと思っている。 それもまた恋だ。穏やかで主張の少ない彼女との恋もまた楽しいものかもしれない。

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