BL異世界行ったらモテモテだった

@wkuht

第1話

 隣町までの距離が三十キロ。

 帝都東京に勤務していた結城は出張で列車に乗っていた。石炭で火を燃やして水蒸気を作りタービンを回す。その動力は運動エネルギーとして電車に比べたら巨大な歯車を回して線路を走る乗り物。明治時代、馬車から鉄道へと変化した時代の乗り物をこの世界でも乗っている。日本は馬車とその間にある馬車鉄道の歴史を挟んでは居ない。馬車軌道という間の乗り物があったが日本にはその歴史がない。馬車軌道というのはまだ汽車がない時代。馬の力で線路の上を走る時代がどの国にもあったのだが、日本は江戸時代から明治に変わる激動の中、馬の力から汽車の力へと技術が急に飛んだ国なのだ。品川から始まった近代化の歴史はそのまま戦争の歴史になり、戊辰戦争、明治戦争、まぁ、この戦争の名称は旧幕側と新政府側で言い分が変わるけど、要は急進派である新政府が海外の技術と文化を吸収して富国強兵しようという考えに、従来ながらの、とはいっても昔から東北の伊達領とロシアを警戒していた東北藩では江戸でも軍事教練していた時代で、軍事的にはお互いに弱い勢力ではなかったけど、帝に、正確にはそのお身内が政府に就いてしまって、錦の御旗、要は菊の御紋という天皇の家紋を掲げた軍が幕府側に敵対してしまったことで「俺達は帝に弓を打ってるのではないか」と動揺した武士が伏見で敗走してから日本は近代化と戦争の歴史に足を突っ込んだ。その世界から僕は来た。

 この世界も価値観的にはそういう時代に近いけど、少し違うのはこの世界は魔法が使える人は重機械工業(重機を扱ったりする経済活動と工場など)と魔法を扱う魔法族世界の対立がこの世界の殆どで、それが元号、平成の世でもまだやってるんだ。

 平成とはいっても、1934年の世界での平成で僕らにとってはまだ大戦が始まろうとしている前夜の時代、世界中で植民地競争している時代の話し、こんな事言ってもピンとこないだろうし、なんならこの物語は戦争が新聞読んだレベルでしか入ってこない戦記物の庶民視点の物語だ。だから、難しいこと言ったけどぶっちゃけ男にモテる道楽の話しだ。

 それも、修道、薔薇、 BL。

 そういう概念はよくわからないけど僕は平成後期の世界から来た人間で、まだガラケーという言葉も出たばかりの頃、モバゲーという今ではアプリでゲームするのが当たり前だった時代。そのモバゲー内のサービスに小説も書けるサービスがまだ分離されていなかった時代からの人間だ。ニコニコ動画はまだ人気だったし、ユーチューバーも存在していなかった時代。ネットで稼ぐという発送がまだ浸透していない時代、バイト、大卒、不景気、そんな言葉を生まれたときから聞かされていながら、秋葉原ではメイド喫茶がまだ人気だった頃。なんだかんだで幸せだった頃から僕は来た。

 この話しは僕が召喚の儀でもなく、勇者でもなく、ただありふれた”なろう小説”のような事故にあった後気づいたら異世界だったようなそんな頭を捻っても居ないような物語が延々と続く話しだ。

 物語と言うには体験談だと感じるかもしれないけど、そう、この話しは体験談だ。

 僕が体験した物語をネット掲示板に投稿してるんだ。そしてそれを再編集して最近できた小説投稿サイトに投稿してるんだ。嘘じゃないよ、僕は異世界人なんだよ。なんで信じてくれないんだよ!

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