自宅

「あはは、おかえり」

「残念だったね、実に無念だったと思うよ、人魚姫殿。あの魔女の薬は信用すべきじゃないと忠告しただろうに」

「そうだ。魔女は声を与えるとは言ったが、それが美しいものであるとは約束しなかったではないか」

「まあ安心したまえ」

「ここには、きみ専属の頼もしいカスタマーサポートがいる。日暮れまでに呪いを解いて差し上げよう」

「楽しみだなあ。本物の魔女に喧嘩を売りに行くだなんて、想像するだに脳内が薔薇色になって素敵だ。きみが作家だったなら、むこう数年はネタに困るまい」

「さあ、行こう。少しばかり気は早いが楽しいハロウィンになるぞ」

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