浜辺
「ときに」
「彼は当たり前のようにここの交番に住み込んで、あの青い制服を着ているが、果たして本当の警察官なのだろうか?」
「いかんせん、彼自身が自らを正式な巡査であると名乗ったことを聞いたことがないものでね。警察手帳は携帯している。銃をしまう金庫の場所も、その解錠の仕方も知っている。しかし」
「彼は、自らを警察官であるとは名乗らない。勝手に我々はあの姿と居場所からそう察しているに過ぎない。果たして、公的機関に問い合わせたら、彼の正体はわかるだろうか? 無論、応答はあるだろう。だが、それさえも虚偽だとしたら?」
「電話の相手が口裏を合わせている、もしくは問い合わせた電話番号自体が偽装されたものだとしたら? 送られてきた公的文書の判ひとつ取ってみても、オリジナルを知らない我々はそれが偽物であるかどうかを検証すらできない」
「偽証が完璧に徹底されたものだとするならば」
「我々はもはや、貫かれた嘘を真実だと結論づける他ないのだ」
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