第10話 第一次大規模侵攻:序章
ローはリアニマを起こしたのに加えて、高精度の第六感を有している。
人間が本来持っている五感のその奥の一つ、第六感。それは、悪意・敵意・害意を知覚する能力である。
そして、ルインダーは人類への害意を孕んでいる。それは誕生経緯によるものだ。
現実は間髪など入れない。
七月八日の正午頃に、黄昏の地獄の中から報告が入る。
『こちらロー特少佐。これよりルインダーどもによる大規模な侵攻が来ます』
ローが強大な害意を感知した。それは後に第一次大規模侵攻と呼ばれるほど苛烈なものとなる。
「なんだと……!」
「未だ、瓦礫の撤去も間に合ってないのだぞ!」
「外壁の構成率は、13%にも満たない……」
上層部は驚嘆の声を漏らすことしかできない。
「ロー特少佐、了解。現在外壁は端しか構成されていない。君の肌感でいい。守れるかね?」
その中の比較的若手のものが口を開いた。
『アニマニウム内の安全は保証できます。よって、私以外が外に出ることはお勧めできません』
「……もう君はマルクトの希望の星。マルクトを代表して言おう。この窮地を救ってくれ」
『善処させていただきます』
ローの蒼い眼には、地獄の奥、マルクトの最北端から溢れ出す害意が黒ずんで映っていた。
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