第7話 リウムの目覚め
リウムの泣いて赤くなった涙袋が白色の天井に照らされている。
『フォースカタストロフィーの終幕を確認しました』
ドローンに冷酷な通知音が鳴った。繰り返されるその言葉に、リウムは目を開けて、そして輝かせた。
「リア、終わったって! 外、見に行こうよ」
『被害状況を表示します。現在被災者の生存を確認中です』
「お姉ちゃん……被害状況を見て」
リアの性急な言葉にリウムは振り返って、モニターを見てしまった。
『マルクト存続率0.0000001%』
――え?
「そんな、わけ、ないでしょ? だってマルクトって20億人も人がいるんだよ⁉︎」
リアはうずくまったままその場を動こうとしない。
リウムはドローンを開けて、外を見て、絶望を知った。
飛散した血飛沫、奥に見える積もった瓦礫とモノリス、さらに奥に見えるは灰の地獄。
何もかも予想だにしなかった光景に眼を焼かれる。リウムは膝から崩れ落ちて、項垂れた。
「パパぁ、ママぁ、どうなっちゃったの?」
答えは出されない。大人は答えを出すよりも、復興をしなければいけないのだから。
リウムから色々な感情が滲み出る。怖い。恐ろしい。寂しい。
――でも。まだ。
リウムはひどい頭痛に苛まれながらも、ドローンの中に戻ってリアに近寄る。
「私が頑張るから、リアは大丈夫だよ!」
おそらく先に見て同じく絶望をしてしまったであろうリアに対して、リウムは姉として希望を示した。
『生存者3名確認。内2名重篤。1名無傷』
ドローンからも生存者の報告がなされ、希望の音が鳴る。
「ほら、生存者もいるって!」
「え?……すごい。マルクトは無くなっちゃったのに……」
絶望に泥酔してしまったリアをリウムは包み込んだ。
「私ね、自分がリアよりもねバカだし、ラッカンテキ?なことはわかってるけどね。リアのそばにいて、痛みを分かち合うことはできるんだ」
「お姉ちゃん……ありがと」
リウムとリアは二人だけで立ち直れそうだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます