厨二に憧れた男
二階に登って、衣装や鞄のブースを通り抜け、魔道具、魔装具コーナーに。
冒険者向きではないようだ。
生活が豊かになる家電的なものと、防犯的なもの、護身用って感じか。
ちょっとびっくりしたのは。
留守中に鍵を使わず玄関開けようとしたら警戒アラーム&投網、対になる指輪を付けていないと触れただけで電魔法で撃退される金庫、放火対策に壁一面水を流し続けるとか個性的な魔道具が並ぶ中、壁に金属の羽根が飾っててあって。
どれも普通の庶民にはかなり高額だ。
「あー、そちらは先代の弟の趣味の魔道具類です」
一応売り物でたまに売れるらしい。
「あの羽根何するの?」
「空を飛ぶ魔装具なんですがね、重さがとんでもなくて装着するための筋力がないと使えんのですよ」
重さは付与魔法使えばどうとでもなるんだけど、派手だなぁ。
サジ○リウスのクロス装着時みたいな。色は真鍮みたいな色だけど。
ちょっと気になるけど、あんなの着けて冒険できない。目立って仕方ないし。
あと、めっちゃ高い。素材がレア鉱石混ざってるからだろうけど。
「冒険者の行く魔道具屋なら売れそうだけどな」
夢見ちゃう俺かっこいい系ダンスィに。
「メンテナンスが製作者本人にしか出来ないんで」
おおぃ。製作者が没してしまったら直せないんかーい。
「飾りとしては目立って良いのでこのままですよ」
それが良いね。
そして、ちょっと小洒落た籠手みたいなものを見つけた。
「これは?」
「そちらはここを押すと縄が出て人を捕縛出来ます。そしてこちらを押して・・・」
ジャキンと金具が跳ね出て弓になった。ボウガン?
「矢を別で持っていないとダメなんで使い勝手は悪いですよ」
おー、売り込まないのね。
腕に装着させてもらって、なんかカッコいい。
だって縄が出るんだぞ。
ローズ○ィップとかネビュ○チェーンごっこが出来ちゃうんだ。
弓はやったことないけど、ギミック有りって激るじゃない。
銃が使えない場面で弓使えると便利かもだし。
「これは買います」
「は、ありがとうございます?」
売れないものだと思っていたようだ。なぜ並べてるんだって感じだけど。
他は電気毛布ならぬ温熱絨毯を見つけて買った。
これも先代の弟作らしく。
普通は屋内でも靴履いて過ごすし床だけ暖かくする物なんかに魔石を消費するなんて勿体なすぎるらしい。
野営の時の寝床に敷きたい。めっちゃ良いと思うんだけど。外で絨毯使うなって言うのは知らん。
先代の弟、実は転生者じゃないのか?
ティアランシアは、俺の他にはいないって言ってたから、ただの物凄い閃きにある人かなぁ?
マジックバッグも一つ売ってはいた。
容量がかなり少ないけど。
大金貨四枚(四百万円)で二帖サイズのコンテナくらいか。
冒険者が持つには十トントラック二台分くらいは欲しいよなぁ。大型の獲物持ち帰りたいじゃん。
大容量は白金貨が数枚、数十枚?飛ぶんだろう。
「お客様のマジックバッグはかなりの物のようですのでこれでは見劣りがしますでしょう」
「んー、そうでもないけど、持ってるから必要はないね」
「先代の弟が作った中ではシーサーペントが入る物が最大でございましたが、作るための錬金素材がなかなか手に入りませんので」
ウホ。俺、カナンでロック鳥、ポルドスの海でシーサーペントを収納してたの、結構なやらかしだった。今更だけど。
AやBランクダンジョンとかなら、宝箱から大容量のマジックバッグも入手出来る可能性があるらしい。
冒険者はまずは自分達用に確保するから、世に出てくる時はオークションだそうだ。
ボロが出ないうちに店を出ることにした。
「王都にもアーノルド商会はございますのでまたご贔屓に」
サーモは会員カード的な物をくれた。
「これを見せていただければ、会長につながりますんで」
えーと、お買い物に行くとしても会長は出てこないでも良いかな?
微妙な顔をしちゃったら、
「特別なお酒や魔道具を紹介することもできますんで」
って言われた。
王都の商会には上部の人しか触れないものとかあるんだそう。
俺の金払いの良さと先代の弟の魔道具を買った変わった人間なことを見込まれてしまったようだ。
「何か変わった物を入手された際には買い取りもできますのでよろしくお願いします」
商人ってハンターより怖い目するんだな。俺が獲物だよ。
「何か見つけたらお願いするよ」
当たり障りないように笑顔で逃げた。
さて、宿に戻る前に。
ちょっと路地裏に入ってから〈ルーム〉に。
ふぅ。
風呂の準備をしてから、さっき買ったチーズたちを少しずつ切り分けて。
生ハムも・・・セットするホルダーを出して。
ホルダーは昔ちょっと買ってみたんだ。一回だけ生ハムの原木を買ってしばらく楽しんだんだ。
ルーム内に置きっぱにしておけば気をつけて管理する必要もないし。
ワインも出してきちゃうぞ。
あかん。一回だけ宿に戻ってから篭らないと。
朝まで〈ルーム〉から出たくないから。
仕方なく一回外に戻って、宿の部屋にダミー荷物を置いてから〈ルーム〉に篭った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます