護衛依頼中 6

 ドットたちが焼く練習で肉を山盛り焼いて食べたので朝食はスープで、足りなければパンを食べる感じで済ませた。


 俺はミシェルの食事の準備に向かう。

 昨日用意したパンケーキと野菜のペーストスープ?おかゆレベルのねっとり感なのでそれなりにお腹に貯まるはず。


 侍女のお願いで、シルスファン用に果物に蜂蜜垂らして、ガレット包みを作った。

 どうも旅疲れで元気がないからって。

 オヤツっぽい朝ごはんにして気分を上げさせたいとか。


 ついでに、移動中用にミックスジュースを作った。水分補給が果汁なので、変わり種ってことで。

 この世界のミルクは成分無調整、無殺菌なので、こっそりお取り寄せの方使ったよ。

 温めるとか手を加えたチーズやバターはいいけど、まんま使うのは怖い。

 あ、でも買ってすぐ時間経過無しの無限収納に仕舞ってるから腐るとかはないけどな。


 問題はブレンダーもフードプロセッサも無いことだった。

 果物各種を微塵切りにしてすり鉢って無理やりで作った。

 ミルク足しては擦る。

 最後は、洗浄した壺みたいなものに入れてシェイクしたよ。めっちゃダサいバーテンダー。

 つぶつぶ感残る飲み物になってちょっと不本意だけど、美味しくできた。


 キリムが「勿体無い。勿体無い」ってぼやいてた。バナナとイチゴは高いらしい。

 でもミルクで割るから一杯にすると大した量じゃ無いと思うんだが。

 貴族の連れてる料理人でもそんな感覚なのか?と疑問に思えば、キリムは侯爵家の見習いコックで、今回ポルドスに残っていた執事や侍女の食事のために残された感じだそう。


「高価な食材を思い切って使えないと貴族の食事作れなくない?」

 ミシェルもシルスファンも大貴族の子供だろう?贅沢な食材で良くないか?


「商店でいつでも仕入れられる食材と祝宴や夜会で振る舞う時にしか出さないようなダンジョンのレア物を一緒にしないでください」

 おお?

 おやつと言えば、俺のガキの頃は、バナナ一本、季節が来たら小粒のイチゴをいっぱい食べてたような時代だったんだぜ?

 (※地域差と親の好みもありましょう)


「だってダンジョンで獲ったから実質タダなんだよね」

 俺の懐は全く傷まない。

 装備だの経費も俺の場合は魔力でどうとでも?

 バカみたいな安い値段で売って歩いたら、他の連中に迷惑なのは分かってるから、売る時はギルドに売るけど、自分たちで消費する分にはみんなで美味しく食べた、で良いじゃん。


「ダンジョンで取ったレア物をポンポン気前よく出しちゃうの変ですよ」

 え~、ドットたちもランガたちも自分たちで食べる分とか俺に適当に渡してくるのに。


「だけどミシェルさまに作る分の材料だけだと俺が逆に作れないんだよなぁ」

 この世界の子供、何食ってんだ??あ、人前なので一応は敬称つけるよ。


「まぁ小さな子はパンを野菜スープに浸すか、芋を潰したものくらいですから」

 歯が生えてすぐぐらいから、容赦なく固形物って感じらしい。


 食事の準備を済ませて、ドットたちの場所を目指しながら一服。

 あー、コーヒー飲みたい。


 馬車寄せではすでに出発の準備が整いつつある。

「おっす」

「おはよう」

 顔を覚えた騎士や護衛とは挨拶程度だが話すようになった。

 俺が貴族に泊まる宿に顔を出してる関係で一応、シルスファンとミシェルを救出した冒険者の一人で、食事を手伝ってると紹介されたので、決して怪しまれてチェックされてるわけでは無いぞ。


「戻ったか」

「お疲れー」

 ドットたちの元に着くと俺たちが乗る荷馬車も準備終了だ。


 ドレッドの村を出発して、いくつかの牧場、林業の宿を休憩したりして、野営の日が訪れた。


 早めに拠点作りをして、シルスファンとミシェル、そしてリューラス侯爵用の大きな天幕を立てて、周りに護衛や従者用のテントを張る。


 犯罪者を乗せている馬車は少し先に停めて、馬車の中で寝袋だそうだ。

 貴族出身者がうるさいらしいが、犯罪者なので高待遇なわけがないだろ。


 今日の寝床は岩場で、風が強い。

 騎士隊が魔法障壁を作っ、て安全地帯を侯爵たちの天幕周りに作った。

 俺が料理を手伝う関係で、俺たちもその安全圏に寝場所を確保させてもらった。


 って言っても、こんな場所で料理とかって感じなので、どうするのかと思えば、天幕に隣に囲いが作られてて、そこで簡易窯と魔導コンロをセットされてた。


 キリムが侯爵とシルスファンのスープと肉串とパンを用意した。さすがに凝ったものを出せってはならないようだ。

 俺は芋ペーストとつみれを入れたスープを作った。

 キリムはこの後、従者と騎士隊の食事を用意するって言うので、野菜を切るのだけ手伝った。一応、騎士隊から賄い当番も来てたしな。


 ドットたちの所に戻ると、今夜は真夜中が見張り当番だと言うので、クレイバーと一緒に肉を焼いてパンで挟んだものとごった煮スープを作って、みんなで食べて仮眠を取った。




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る