護衛依頼中 5
夜更け、納屋からガサゴソ音がして、見張りの順番かって寝袋を脱ごうとしたら、「そのまま寝てろ」って言われた。
ミシェルの食事係と自分たちの食事を作ってるから夜間の見張りは免除らしい。
ミシェルの分は別手当貰ってるし、ドットたちのは俺のついでの部分があるから免除されるほどじゃないと思いつつ、ドットたちも引かないので有り難く甘えておく。
とは言え、目が覚めたのでちょっと裏で用を足しに茂みに。
隠れてるので、スマホをちょっといじって、カイロと干し芋をポチった。
やっぱ朝方は少し冷えてる。
カイロを腰と腹に入れた。
タバコ咥えながら焚き火の側に座って、ホットワインを作る。
良い酒を使うと怒られるから飲み水代わりのワイン。ハーブと果物入れてコトコト。
干し芋はさすがに大騒ぎされるほどじゃないはずと思って、みんなのおやつにするつもり。
魚の干物や干し肉があるんだから良いよな?
問題はこの世界の甘芋に比べて糖度が高いことか。より甘くよりねっとり。
待ってる間にちょっとだけ、スキットルの酒を飲む。
焚き火にあたりながら酒をチビチビ。
酔うほどはダメなので、ちょっとだけ。
腕がブルブルっとしたので確認するとイノシシの群れが近くに。
お、お肉が自らやって来るとはラッキーじゃん。
すでに誰か見つけて向かってるようで、ちょっと騒がしくなっている。
「ブオォー」
行く必要は無いかなっと思いつつ、火の処理をして、一応走った。
暁月を構えて、周囲を見ると大中小のイノシシが。
「オラァ!」
ドットたちや騎士隊がほとんど倒し終わってたけど、俺も中くらいのを一頭倒した。
イノシシ、騎士たちにボッコボッコにされてるので、俺が出したイノシシだのがギルドで状態がいいと喜ばれたのはそう言うことかと。
毛皮の状態もだけど、打撲や刺傷は肉が傷むからな。
自分で倒したものは自分の分で良いはずなのでこれは取っておいて煮込んだりしよう。
騎士たちが倒した分は、騎士たちの賄い半分、村に寄付半分だってさ。
ドットたちが言うには、こう言った人の少ない村にはイノシシが定期的に畑でバイキングしに度々やって来るらしい。
金払わない客は遠慮だよな。
狩人や冒険者がいれば、お肉様が自らキター!ヤッホーイ!なわけだが。
今回は普通のイノシシで楽勝、魔物の方だと三倍以上の難易度になる。
「ブラックボアかレッドボアのがうまいのにー」
ハズレだとボヤくけど、村的には助かっただろうよ。
ン?依頼せずに倒してくれる人手がある時にヤバいの倒してもらった方がラッキーかもな。
と言っても、今回は山刈りするような状況ではないので、出て来たのを倒すだけだ。
「あー、ボルクさんの煮込み食いてぇ」
見張り時間もすぎたので、みんなで納屋周りに戻って休憩だ。
ドットとドレイクは腹が減ったのか、肉を見て思い出したのかぼやいた。
火を付け直して、温め直したホットワインを出すと機嫌がなおるから単純だ。
「うーん、俺たちジェイルと離れたらもう野営できない気がする」
「こんなもん、覚えれば良いだろ」
「細かな気遣いの話だよ」
自分が欲しいものを用意してるだけだからなぁ。
「まぁ、せめて肉をうまく焼けるようにはなりてぇな」
志が低いのよ。
「火加減だけだろう」
「それが一番難しい」
焚き火だからか?
家で作るよりは難しいかもだけど。
そーいや、林間学校とか初めての飯盒炊爨で焦がしたりとかカレーの砂利が入るとかあったなぁ。
そのレベルで考えたら良いのかな。
「とりあえず弱火から覚えてよ」
なぜか強火にこだわるんだよ。
時短したいんだとは思うけど、最高の時短は弁当か干し肉、乾パンだ。
「飯食う時間に余裕がある時は料理もゆっくりやれって」
もう寝直す気がないので、ドットたちにさっきのイノシシ肉を炊き火に鉄板で焼肉、鍋ですき焼きもどきを作るのを見るようにと手順を見せていく。
焼肉はもう薄切りオンリーよ。分厚くした分焼けるのに時間食うから。
マッチョ系のオッさんたちなので少しボリュームが必要かとちょっと思い直して、厚さ二センチ肉を叩いて筋を切るのを実演。
五ミリ前後と二センチ肉。
焼く前にパラパラっと塩を振る。も○みち。
すき焼きもどきは、肉の脂を少しひいて、肉を軽く焼いて、水分多めの葉っぱ系野菜と薬味なハーブ、玉ねぎもどきを入れて塩。
醤油が入れたいけれど、我慢。
これに水分足して塩を調整すればスープだ。
素材の味で生きてきたんだ。これだけ出来れば、乾パンや干し肉オンリーにならずに、なんとかなるはず。
みんなそれぞれ焼肉をやってもらう。
すぐ裏返すドレイクとクレイバー、これでもかと待つドット、ちょうど良いくらいまで行けたシャート。
性格がめっちゃ出てる。
鍋は多少肉が焼けてなくても煮込めば同じ。
もう少し調味料が欲しい。王都とかで何かあるのかなぁ?
他の見張りたちが何やってんだと覗きにきたりがあったけど、肉を焼くはなんとか出来たぞ。
ドットたちの賢さ?が一上がった。
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