二章

護衛依頼中 1

 ポルドスを出発して、海沿いを進むのをぼんやり。この道ならバイクで進めたかも。


 まだ舗装された道だったので揺れはマシだったけれど、ケツが痛い注意報なのでゲルクッションを出して自分のケツを守る。

 キレたりイボったりは絶対嫌だ。だって便所が嫌なんだもの。旅の間は「野外!!」だしな。


 あ、前の体の名誉?のために言っておくが、痔主さまではないぞ。たまにキレるのは普通だよな?人に聞かないから知らんけど。


 俺の様子を見てドットたちも以前渡してたクッションを出してポジションを安全地帯にした。


 馬車が板張りなのは仕方ないけど、みんなケツ硬いのか?俺のヤワなケツには無理だぞ。


 ちなみに貴族の馬車はランクによるけれど、クッションたっぷりで多少マシだそう。

 多少じゃ何日も乗っていたくないな。

 

「昼はトッカの村で休憩だ」

 ドットたちが地図を広げて今後のルートを確認する。シャートはシルスファンの馬車の御者台。この馬車にはシルスファンとミシェル、ラシャドル家御一行の荷物の一部が載ってる。ので、人間は俺たちだけ乗車だ。


 トッカを越えると危険になるらしい。

 草原を超えて、山に入るので魔物が出てくる率が高い。


「夜は少し遅くなるがドレッドの村に着く予定だ」

 カナンからポルドスの間に村は無かったので、こっちのルートだと少し発展してる感じなのかね。

 

「ドレッドは夜間にボアが襲ってくる確率が高い。食糧増えるぞ」


 夜は寝かせて欲しいってならないんだ。

 

「人数多いから分配したら微々たるものだろ」

「なぁに!夜食一回分は確保できる」

 それはたくさんボアが出てくるってことか。

 

「調理は?」

「「「ジェイル!頼むぜ!!」」」

 普段に自分たちで食べる時は、そこそこのサイズに切り分けて炭になった部分は削って食べるとか言ってるぞ。勿体ねぇ。


「ゆっくり出来る時間があるならな」

「時間は作るもんだぜ」

 ドットがカッコいいこと言った。

 ニカっと見せた歯がなんかムカつく。

「あはは、侯爵さまと坊っちゃまたちと従者たち、お貴族の騎士さまたちが宿使うから俺たちは野営になるだろう?」

「そーそー、休憩中は多少自由だと思うぜ」

 あー、まぁ気を使う相手が少ないなら野外でも、野外のがいいな。うん。

 外ならタバコ吸いやすい。ヒャッホー。


 これだけ人数いれば、異変察知しても出番が無いかも。

 一応ドレイクとクレイバーが周囲を警戒中だ。交代で俺とドットになる。


 でも俺は自分の能力使うんじゃなくて、スマートウォッチが危険をブルブルでお知らせしてくれるんだよな。

 なんか新機能〈振動〉がついてた。いつの間にか改良してくれてる親切さ。

 点滅をチェック出来ないのを見てたんだろうな・・・。見られて困ることはしてないけど、プライバシーに保護はどうなってると言いたい。

 だけど、無限おねだりも受け入れないとダメなくらい至れり尽くせりだ。

 

 仕方ないから次にスマホを触れる時に。ドリアスとシャルマにはお菓子たくさん送ろう。


 道がちょっと粗くなってきて、揺れでアゴがガクガクする。


「いつもならこうやって座る揺れだ」

「そうそう〜、揺れすぎの時はこう」

 三十前後のイカつい兄ちゃんたちがヤンキー座りになって説明してくれる。

 された事ないけど、コンビニ前で「アーン?」ってメンチ切られてる気分だ。

 

「長時間はキツくないか?」

「持ってればだけど毛皮をたくさん敷く」

 売るときに値段が落ちちゃわないか。

「寝袋と天幕の布を敷いたり」

「屋根に乗る時もある」

 馬車の屋根はデンジャラスだろう。

 幌の骨が丈夫じゃないと壊しちゃったら大変だ。(腑くんたちは縛って動けないから載せた)


「このクッションはかなり良い」

「ケツが割れない」

 割れる感覚があったなら何かふかふかした物を持ち歩こうぜ?


 しばらくガタゴトして、ちょっと緩やかになったら馬車は牧場に停まった。


「お、予定外の休憩だな」


 馬車を降りると騎馬隊も順番に広場に進んで馬を休ませる準備に。


「子供たちの休憩が必要だって〜」

 シャートが走り寄ってきた。

「あー、やっぱしんどいか」

「あの揺れは辛いだろう」

 貴族の馬車でも過酷か。


 俺たちは馬車の警戒を頼まれたので、そのまま待機になる。


「これだけ人数いると下手なのは出てこないけどなー」

 

 貴族馬車に臭いがつくとまずいのでタバコが吸えないのでしょんぼりだ。

 騎士隊と従者がバタバタッと動き回って、シルスファンたちの執事が俺を呼んだ。

 

「前にお嬢様のお食事を用意してくださった時と同じような物を作っていただくことは可能でしょうか?」

 

 どうやらミシェルが、馬車に乗って移動した事で、俺たちと過ごしていた時のような食事が出来ると思っていたのに、普通の食事が出てきて泣いちゃってるらしい。


「あー、出来ますよ」


 そう言うと執事はホッとした顔になった。







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 お読みくださってありがとうございます。


 あのアンナの嫌われっぷりに驚いて日和ったので、アンナのお話は書けたら最新扱いにならないよう差し込みで追加する方向にします。

 章を分ける時におまけ的に数話入れようかと思ってたのでたくさん書く予定ではないです。

 必要あるかないかは、成としてのジェイルがどうして結婚をしようとしたのか程度な内容かな??なんでも読める人だけどうぞお待ちください。


 もう一つ、この作品がのんびりスローライフと思われている事にビックリしてます。

 ヤニ臭いオッさんの時点でほのぼののつもりが無かったので、たまに頂くコメントの中で「あれ?」っと思っていたのですが、何にも縛られないジェイルの気儘さはたしかにスローライフか?と。


 むさ苦しいオッさんに絡まれて過ごす、ヤニ臭いオッさんの話ってほんわかで良いんだろうか?

 よくわからないけれど、この緩さが良いと言われればそれも嬉しいので結果オーライ?


 あと、序章での書き方が悪かったのか心配されているので、アンナのいる世界とジェイルのいる世界は別の惑星です。

 序章で成が断固拒否したので二人は再会しないです。

 これは最初に書いてたつもりなのでネタバレじゃないって事で。


 

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