夜襲

 

 残酷シーンあります。



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 MAPを開くと小さい点滅だ。

 前に見た時には無かった表示が出ていた。人間と魔獣、獣みたいな仕分けと大まかな危険度みたいな。 

 害意が無いとか、俺に関係ないと表示されないっぽい。

 ドリアスかシャルマあたりが勝手にアップデートしたと思う。神、下界覗きすぎじゃねぇ?ありがたいけど。

 点滅は人間だったので、仲間を後追いしていた残党かと思う。

 距離は一キロ弱。


 さて、半殺しで確保か息の根を止めるか悩むところ。

 人間悪の中で子供に関する犯罪は一番ダメだと思う。抵抗出来ない相手を狙うって言うのがクズだ。

 日本だって、ロリが未成年略取監禁とか表に出てなかった事件もいっぱいありそうだけどな。

 


 シャートやヤンも気配を察知したのか子供以外を起こして出てきた。

 こういう時、家畜は騒ぎ出しちゃうんだよな。


「近くまでくる前に蹴りをつけるぞ」

「ミンミ、イルナ、ヴァロは子供たちのそばで護衛だ」

 シャートが〈瞬足〉を付与してくれて、みんなで森に入って一気に距離を詰めていく。


 ・・・なんて言うかもう結構ボロボロだな。

 見つけた連中は装備がもう外れかけみたいな、服もよれよれで小汚かった。

「おい、ドランルートの道は合ってるのか!?」

「へぇ、おそらく」

「おそらくってなんだぁ!?先行の馬車に追いつけねぇだろうが!!」

 どうやら国境の街ドランに向かう予定らしい。徒歩で行くの!?

 ポルドスーカナン間の中間にドランへの分岐があって、馬車もちょっとルート外れてたけど、こいつらちょっとバカだった。

 ドランに行くなら街道沿いの反対側の森進まないと見て出てこないぞ?


「全部で五人か」

「確保?」

「二人・・・リーダー格とあそこの下っ端っぽいのだけで良いだろう」

「そうだな」

 七対五で二人残しって事で三人消す。

「ジェイルは確保の方ねぇ」

 新人にコロシはさせない感じか。多分ヤレるけど、優しさは受け入れる。

 倒してもいいよね?答えは聞いてないって言いたかったけど。


 峰打ち・・出来るかなぁ?俺の脇差。


「なんだぁ!?追っ手かぁ!?」

「おい、逃げろ!」 


 あ、戦わず逃げるんだ。


 俺の方に一人来て、残す予定じゃないやつだったけど、とりあえず足を狙った。

「ねぇ?お前ら子供蹴っちゃうようなウンコだし、足要らないよねぇ?」

 一応峰打ち狙ったんだけど、骨折れたかも?切ってもいいと思うんだけど。

「ギャァァアアアアア」


「子供狙いは捕まれば処刑だ。ちょっくら先に逝っとけ。あとで仲間も送ってやる」

 ひゃー!ドットなんかカッコつけ!渋い!

 顔面強打で倒した相手は一言も吐けず倒れた。

 そこは「ひでぶ」とか言いたまえよ。

 

「ふっ!貴族の子供を攫って時点で命運は尽きてただろうよ」

 ランガ!「ふっ」て言っていいのは車○キャラだけだ!!

「がぁああああ!!」

 剣を鞘に入れたまま肩を砕いて倒した。

 ほぼ無抵抗だった敵は「あじゃぱぁ」言ってくれない。残念。


 ドレイクはすでに一人確保していたけど、腕一本飛んでた。

「もー、止血めんどいじゃん」

 シャートが文句言いつつ、ポーションかけて布を巻いた。

 リーダー格らしき男も大して反撃がなかった。


 で、俺が捕まえるべき下っ端はクレイバーが出した盾に激突して自滅?


「コイツらは冒険者崩れだな」

「一人見たことがあるー」

 指名手配だな懸賞金かかってるんだってよ。

「ラッキーだけど調査がめんどくさそう」

「ポルドスに任せれば良い」


 結局四人生きてるので一人はシャートがマジックバッグに入れた・・・。問題ないのはわかってるし、残骸とかも入れたの聞いてたけど、なんかヤダな。俺も一人の時に遭遇したらやるしかないんだよなぁ。


 四人は牧場まで引き摺って行った。抱えてやるギリはないもんな。

「うほ」

「ガガガ」

「いでぇ」

とか聞こえるけど、情けはない。

 コイツら子供蹴ったり殴ったり、囮にしたりするウンコだし。

 牧場に戻って、腑くんがいる方の馬車の屋根に縛り付けることになった。

 幌は不安定だし怖いねぇ。


 シャートがポルドスのギルドと〈水平線の彼方〉〈海の渦潮〉に報告を入れた。


 こっちの馬車は子供たちに見せたくないため、ドットとクレイバーとヤンがこのまま出発することになった。

 御者を一人起こして、俺はこっそりハンバーガー三回分とワインをポチってドットに渡した。


 腑くんたちの分はないけど、水分補給だけで良いだろう。


「じゃ向こうでな!」

「ジェイルー、離れたくないよ」

 ヤンはタバコが欲しいだけだろう。吸いかけの箱をあげたら機嫌良く行った。


 牧場主が起きて来てたので、ランガが事情を説明して大丈夫だって伝えた。

 タイミングが悪かったらここも食糧目当てで襲われたかも知れないから肝が冷えただろうな。

 

 子供たちは一瞬起きたらしいけど、大丈夫って寝かしたらしい。


 とりあえずまだ深夜なので寝るやつは寝て、俺は外で毛布に包まってタバコ吸う。

 

 あんな弱い連中が無謀なもり超えするって意味わからん。Bランク対雑魚だったからかねぇ。ボスみたいなのがドランにいるのかも。戦略的に稚拙だから大した集団じゃないんだろう。

 ドランの方も調査が入るだろうけど、俺は王都行きが確定してるから気にしないぞ。


 寝相悪い奴らは別行動になったので屋内で寝ても良いんだけど、牧場の朝一番まではもう何時間もないので、このままタバコとホットコーヒー過ごして時間潰そう。

 朝飯はもう市販のサンドイッチで良いか。


 

 


_________________




 〈新月の雷光〉

 ドット 

 ドレイク 

 クレイバー 

 シャート 

 〈鋼鉄の拳〉

 ランガ

 ヤン

 ヴァロ


 〈海の渦潮〉

 ミンミ

 イルナ


 保護した子

 メイ ディエゴ ジャン ユング


 シルスァン・ラシャドル

 ミシェル・ラシャドル

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