いっちょ!
馬車は、子供たちの様子を見つつ、トイレ休憩、食事休憩とを取りつつ進む。
俺は都度タバコ一本分の一人休憩を死守。
食事担当がが俺しか出来ないって三パーティもいるのにおかしいよな。
子供たちはマンマに好き嫌いダメって教わってるからか好き嫌いは言わないけど、大人は自分の金で好きに食べれるようになって、野菜は食わないって決めちゃってるんだよ。
自分の身体だから好きにしたら良いけど、作らせるなら全部食えよ?って思う。
シルスファンも野菜は嫌いだけど、俺の料理は美味しいと可愛いことを言ってくれる。
半分はカナンで買った野菜だけど、トマトやレタスはポチったので、味は違うだろうな。苦手意識が無くなったのに普通に食べてガッカリさせたら可哀想だ。マジすまん。
今夜は牧場の宿に泊まることになった。
牧場主に挨拶した時にミルクを売って欲しいと言ったら朝一番に搾りたてを売ってくれることになった。
タンクっていうんだっけ。返しに来れないかもだから買い取りでお願いしたら「新調出来てありがたいね」と古い方のを格安で譲ってくれた。
それを横で聞いていたドットとランガが飯を作らせてるのと材料提供してくれてるからとミルク代を払ってくれた。
五十リットルくらいのを二本。
無調整なら生クリームもバターもカッテージチーズも出来ちゃうよな。
牧場で搾りたて買うってテンション上がるシーンだ。
夜間に作るのに使いたかったけど、搾りたてって好意で言ってくれたし、夜にミルクがあんまり残ってないのも仕方ない。
子供たち用にミルクを少し譲ってくれて、チーズもくれたので、お返しに仕舞い込んでたウサギと穴ネズミ肉をあげた。牧場のマンマがハグしてくれたぞ。
・・・俺の中身と同年代と思えばラッキーだったかも?かな??
ロック鳥がお高いので下手に出したらダメってことは俺も学習したんだ。ほどほどなものならOKだろ?
今夜の食事はシチューにした。パンとシチューなら多少堅いパンもイケる。
大人には焼肉をつけたよ。量が必要だからな。
茹でた野菜に頂いたチーズをたっぷり使えば「野菜いらない」コールは控えめだ。
子供たちも喜んだ。
ヴァロとシャートとクレイバーが子供たちの補助をしてくれてるけど、ミンミとイルナは食べる方に夢中だ。
一応気にはしてるようだけど。
「シチューおいしいね」
「ミルク味ー♬」
今日はルーを使ったけど、ミルクも追加して多少薄味に調整した。
「これはボルクさんが喜びそうな味・・・」
またレシピ登録とか言い出す?面倒なので聞こえなかったふり。
ミシェルは俺が食べさせるから、シルスファンに気にしなくて良いよって言えば静かに食事をとる。
ミシェルには芋ペーストに粉ミルク、少しシチューをかけてあげたのをあげるとやっぱカパーと口を開ける。
「まっっ!まあ!もっちょ!」
うまうま?もっとかな。
「ジェル!たべゆのよ!」
俺がスプーンを持っていた手を逆手にさせて俺も頬にスプーンがボヨンと刺さる。
「俺は後から食べるから・・・」
「いっちょ!」
ていっとスプーンをこっちに向けてくる。
元気になってきて何よりだ。
「こっちはミシェルのスプーンだから俺はこっちな」
ミシェル用のご飯を少し乗せて食べてみせると納得したようだ。
「いっちょなの~」
ニッコリされて撃沈。俺の頬に芋がぺったり張り付いたがヨシッ!
「ジェイル、アーシが抱っこしてるからご飯食べな」
ミンミは見た目は可愛いんだけど言葉がワイルドだ。
「ミー!やっ!」
「ジェイルもちゃんとご飯食べるから我慢しな」
「むー」
ずっと大人しかったのは怖かったのか、腹減ってたのか。自己主張出来るまで復活?してオッさんは嬉しいぞ。
ミンミに任せるとミシェルはミンミの胸に頭突きしたりペチペチしたり。ドレイク、ヤン、羨ましそうにしない!
食後にクッキーを出したら「こんなの王都の貴族が食うんだよ」だって。
マジかよ。
「しかもこれの方がうまいとか」
ブル○ン、この世界でも売れるぞ。
それを聞いた子供たちとミンミとイルナは噛み締めるように食べた。
「うちのシェフより腕がいい」
シルスファン、シェフ泣いちゃうから。それは一箱十四枚で二百円弱で買えちゃう素晴らしいい商品だ。
おもたせの有名焼き菓子は突っ込まれると思ったから、庶民風にお安いのにしてみたのに、それでも凄かったか。さすがブル○ン。
俺もサクッと夕飯食べて後片付けだ。
全部集めて〈洗浄〉して終了。
今夜も雑魚寝だが、ミンミもイルナも全く気にしない。
子供たちには馬車で使ってるゲルマットを敷く。今日も世界地図書いたとて〈洗浄〉するから平気。
そう言えば、誰もお湯を必要としてないが身体拭きたいとかないの?
夜間はみんな寝るとは言え、気軽に〈ルーム〉に行けないから風呂に入れない。
〈洗浄〉だけするけど、あと着替えたいんだけど。
子供たちが寝付いたので、タバコを吸いに外に出た。
腕のスマートウォッチが赤い光りを灯した。
_________________
〈新月の雷光〉
ドット
ドレイク
クレイバー
シャート
〈鋼鉄の拳〉
ランガ
ヤン
ヴァロ
〈海の渦潮〉
ミンミ
イルナ
保護した子
メイ ディエゴ ジャン ユング
シルスァン・ラシャドル
ミシェル・ラシャドル
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます