スキル:百人一首で趣を大切に無双する

舞天

 アーマン・リック

眩しい朝、鳥の鳴き声、母の大声。

いつも通り寝坊ギリギリだが、今日は特別な日だ。


今年15歳で成人を迎えた者は、成人の儀を受ける。「神授の儀」と呼ばれ、一生に一度だけ、神から能力スキルを授かる。


そして今日、ついにその神授の儀なのだが...

「早く起きなさい!リック!アーニアちゃんが待ってるわよ!」

母の大声がのどかな朝を彩る。


ドミニク・アーニア

家が隣で同い年、物心がつく前からずっと一緒にいる幼馴染で、

真っ黒で長い髪、少し慌ただしい性格のどこにでもいそうな女の子だ。


眠い目をこすりながら着替えて、外に出る。

「相変わらずすんごい寝癖ねっ」

「人間は自然のルールに従って寝返りをする。だから自然のルールでできた寝癖は、そのままにしておくんだよ。」

「その髪の色だから許されるんでしょう!」

黒髪のアーニアは、リックのオレンジの頭を羨ましそうに見る。

「早く教会に行くぞ。」

いつも通りのやり取りをしながら、教会へと入っていく。


田舎の教会であるため、豪華な装飾は無いが、神秘的な空気が張り詰めている。見渡す限り畑の田舎村にあるとは思えない。


中に入ると既に5人ほど、神授の儀を受けに来ていた。リックとアーニアの到着と同時に、神父が前に立つ。


「これより、神授の儀を始める。名前を呼ばれた者は前に。」


1人1人名前を呼ばれ、神父の前にひざまづき、目を閉じる。すると、体がほのかに発光する。

「やったぁ、剣技だ!」「俺は鍛治!」

「私は料理よ!」


次々にスキルを授かっていくなか、アーニアの体が一際強い光を放つ。

「私が...剣禅一致けんぜんいっち...?」


剣禅一致とは、剣の境地のこと。このスキルを持つ者は、研鑽の末に剣の道の果てに辿り着くと言われている。


「ふふん。」

アーニアはドヤ顔を向けながらニヤニヤとこちらを見てくる。


「次、アーマン・リック」

神父の前にひざまづき、目を閉じる。

体が少し暖かくなるのを感じる。

と同時にスキルの名前と説明が目の前に現れる。どうやら他の人には見えないらしい。


僕のスキルは、






















百人一首...............?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る