パチンコ店のとある出来事

@inunu3

第1話

私が勤めるパチンコ店で小石が台に詰まっているという事件はここ1週間の出来事だ。本来であれば、監視カメラを追っていけば犯人を見つけることは容易い。しかしながら、そうはいかなかった。その台で小石を詰めている素振りを見せる客はいなかったのだ。その事件は翌週も翌々週も起きた。私がホールを巡回している時のことだ。客が袖口からパチンコ玉を出しているところを見かけた。

(めんどくさいんだよなぁ、注意するの。)

「お客様、他店玉の持ち込みはご遠慮ください。」

(くっさ、獣臭?っていうの、ちゃんと風呂入れよな。マスク越しでも匂ってきて体調悪くなるんだよ)

ごく稀ではあるが、定期的にパチンコ店には臭い客が来る。お風呂もろくに入らない人が一定数いるようだ。

「ごめんよ。知らなかったんだ。」

(嘘つけ)

「かしこまりました。また次持ち込みが発覚した場合、出禁とさせていただきます。」

「わかった。」

(わかりましただろうが、敬語を使え。)

そんな悪態を心の中で付きながら職務を全うする。

時刻は22:00。うちの店舗は22:50に閉店なのでラストスパートの時間だ。かと言ってもこの時間帯になると人も少なくなり、まったり店内を歩く。

(ん?さっきのおじさんから何か出てる。しっぽ?)

目でも疲れているのだろうか。

(6連勤だったからなー。)

そんなことを思いつつもしっぽは生えたままだ。

(??????)

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