第16話 銘家の騒動─1
16話 銘家の騒動ー1
「いやー助かりました。御三方は私の命の恩人ですね。特に楠間様、意識を失う直前に銀を纏った貴方様の背中を見ました。この人こそ私の運命の人だと……」
なんとかダンジョンから出た帰り道でお嬢様らしい銘有栖がなんと楠間に一目惚れしたと言う……
マジかよとも思うが、まあアイツもラノベみたいな存在だし良いかな。
「おお!その立ち姿で運命の人と言えば「悪役令嬢の運命を切り開いて見せますわ!」のトウコさんでは?拙者雑食ゆえ評価の高い作品はジャンル問わずチェックしているでござる。トウコさんをリスペクトした長い黒髪ですかな?非情に美しい「トウコ?誰?」
「は?トウコさんをご存知無い?ではお嬢様属性で運命の人と言えば……( ゚д゚)ハッ!「運命のシロノワール」でのモカさんですかな?いやでも彼女は茶髪でしたな。「モカ?」
あ、ヤバい有栖さんから闇のオーラが立ち上ってる
そんな話をしてたら日本家屋の大豪邸の前にたどり着く。
「あ、私の家はここです。どうぞ上がって行って下さい。」
「いやいや、お構いなく!拙者当然の事をしたまでなので!さぁ、二人とも牛丼でも食いに行きますかな!」
「まあそんな事言わずに話し相手になってやれよ楠間、彼女もあんな事があった後だ。なんだかんだ言って不安なんだろうよ。なぁ奥渡」
「あぁ、そうだな。有栖さんの側にもう少し居てやれよ楠間。俺は久安と先に帰ってるぞ。馬に蹴られたく無いからな」
「お気遣いありがとうございます」
楠間の手を引いて力強く玄関に歩いていく有栖。
まぁ、なんとかなるだろ。面白い方に話が転がらないかなぁ
────────
翌日────
「よう楠間!昨日はお楽しみの様だったな?」
俺は通学路に見覚えのある丸い背中を見つけて声を掛ける。すると振り返った楠間は昨日より幾分かやつれた様子で力なく挨拶を返してきた。
「やぁ、奥渡。恨むでござるよ……あの後酷かったでござる……」
楠間曰く、あの後有栖のパパンが現れて
「娘の修行に茶々を入れるとは言語道断!」みたいにブチ切れて、
ママンが現れて「娘を貴方の物にして良いから頑張って」と言われ、
有栖の兄を名乗るイケメンが現れて「この家を乗っ取る気か!」と因縁付けられて
撃退したら有栖の妹を名乗る小学生ぐらいの子に「私もお嫁さんにして」と頼まれたらしい
「もげたら?」
「いや、俺がもぐ」
いつの間にか後ろに居た久安が嫉妬の表情を浮かべていた。お前ははよ蓮見妙子とくっつけよ。変な所で嫉妬するんじゃないよ!
「で、結論としてどうなったの?」
「それが……お兄さんの銘醸地さんをぶっ飛ばしたのが良くなかったらしく、拙者の事を置いてきぼりでお家騒動が始まったでござるよ」
「あぁ、じゃあ有栖さんが次期当主になる章って事かな」
「でもよ、奥渡。それなら昨日の時点で話は着いてるんじゃないか?楠間がゲンナリしてるからにはコイツが話に1枚噛んでるんだろ」
「有栖氏の母上が拙者を次期当主にご指名したのでござるよ……実質有栖氏と結婚しろと言ってる様なモンでござるな。」
うぅむ………思ってたより話がデカくなってる……
どうしよ………
思案していると、唐突に破壊音が響き渡る!!
目の前の建物を破壊しながら現れた岩で出来たコールプローラーが楠間を見て叫ぶ!
「ヒャハハハ!見つけたァ!銘家に入り込もうとする害虫が!!俺が今駆除してやるゥ!!」
岩の拳が楠間に振り下ろされる!
「醸地氏!自棄を起こしてはいけないでござるよ!!拙者は昨日の話を受けるつもりは毛頭御座らん!」
銀を纏って拳を耐える楠間、クソっ!コールプローラー……仁倉は何処だ?!
「だったら!大人しく潰されてくれよ!!俺の安心の為にサァ!!」
「ガッ………グッ………」
「楠間!!府王丸……「手を出すな!!」
「グッ……矛先が久安殿にも………向くでござる………拙者の撒いた種……なんとか……」
「ヒュー!デブのゴザル口調が一丁前に偉そうに!俺の相手は自分一人で充分ってかァ?舐めてんなよコラァ!!」
「そういう………所があるから………有栖殿の母上は………アンタを後継者に……したく無いんだろ!!!」
振り下ろされる岩の拳を銀の拳が砕く!
「楠間!お前に貸してやる!上手くやれよっ!!」
俺は仁倉に頼み借りているコールプローラーを楠間の側に呼び出す。
「ありがたく借りる!!」
楠間が乗り込み、楠間の相棒のキナの姿が浮かび上がる。そしてデッサン人形の様な姿に銀が肉付けされ、昭和のブリキの玩具の様な姿が立ち上がる。
「キナ!エネルギーバイパス確認!魔力炉、各関節異常無し!俺と相棒と機体のリンク、オールグリーン!!」
「コレが本来の機械仕掛けの
岩のコールプローラーは手首から先を砕かれていた左腕一本を犠牲に難を逃れ、少し離れて大勢を立て直しに掛かる。
「いきなり大技とはな!戦いの駆け引きも知らん奴が銘家の者に近づぶぁっ!!」
喋り出した岩巨人に足元の瓦礫を投げつける楠間、それ主人公側のやる事じゃなくない?
「戦いの最中にお喋りとは!良いとこのお坊ちゃんはケンカの仕方も知らんらしい!」
「バカに………するなぁぁ!!!」
「見事に乗せられて大振りの攻撃、そういう所やぞ」
繰り出された攻撃を掻い潜り、岩巨人の腹部に拳を叩き付ける楠間。
「インパクトォ!!」
ドッカン!と音が響き岩巨人の背中の岩が弾け飛ぶ!
岩巨人を操る運転手の銘醸地が気を失った事によりコールプローラーは元のデッサン人形の姿に戻り、腹部から担ぎ出された醸地はグッタリしていた。
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読んでくれてありがとうございます!
めちゃくちゃ間が開いてすみません
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