第13話 ツンデレ女王と撮り鉄
朝から色々あったが、僕は無事に教室へと辿り着いた。
( おい大和、こっちの世界の授業退屈だし、プレアデス王国にでも行かないか?)
( 授業をサボりたい気持ちは分かるけど、授業はちゃんと受けないと)
ヨナさんとも会話しつつ席に着いた僕は、カバンを広げ、荷物の整理をしていたのだが……。
ゴトッ。
え?
何かが地面に落ちる音がした。
床を見てみると、そこには赤色の筆箱が落ちている。どうやら左隣の席の人が、カバンから荷物を取り出している時に落としてしまったようだ。
左隣の席の人の名前は
今朝、桃色髪のツインテールロリである "妹改革の桜花" という美少女に出会ったが、彼女は貧乳だった。
しかし目の前にいる金谷さんはなんと巨乳。
素晴らしき頂がそびえ立っているのだ。
まあ、見た目からして金谷さんは気が強そうなので僕の得意なタイプではないけど……。
とりあえず筆箱を拾ってあげるか。
「 あ、あのこれ……落としたよ」
僕が金谷さんに筆箱を渡すと、金谷さんが急に大きな声を出した。
「 あ、ありがとう……。で、でも勘違いしないでよね! べべべ別にあんたに拾って貰いたくてわざと落としたんじゃないんだからね! たまたま落としちゃっただけよ!!」
……。
ツンデレ……だと……?
まさかこの子、金髪ツインテロリ巨乳の上に、ツンデレという属性も持ち合わせていたとは……。
かなりの逸材だな……。
そんな金谷さんの圧倒的なツンデレを見た周りの男子達がざわめく。
「 か、かわいい」
「 だ、抱きしめたい」
「 ち、ちゅーしたい」
「 む、胸揉みたい」
「 あ、足の匂い嗅ぎたい」
「 お、お尻に顔埋めたい」
「 わ、脇舐めたい」
「 お、犯し……」
おっと、どうやらこのクラスは性犯罪者予備軍が大量にいるようだ。
てかこれ本人に聞こえてない? 大丈夫?
さすがは狂人ランキングが作られるだけの高校だ。
周りにもかなりイカれた奴らがいるようだな。
( この学校の生徒は頭大丈夫なのか?)
( 大丈夫ではなさそうだね)
さすがのヨナさんも今の男子達の発言には若干引いているようだ。
教科書や筆記用具を机の引き出しにしまった僕は、すぐさま山君の元へ向かった。
「 山君、このクラス大丈夫?」
「 大丈夫ではないですね……」
だよな。
「 それにしても金谷さんか……。なんか凄いツンデレだったな……」
僕は小声で呟いた。
「 そりゃそうですよ。彼女こそ狂人ランキング第11位、 "ツンデレ女王 金谷琴葉" です」
「 え? 彼女が狂人ランキングに入ってるの!? ただツンデレってだけなのに……」
僕は驚きを隠せなかった。
ただツンデレなだけで狂人ランキングに入るのか?
そう思っていたのだが、山君は僕の発言を否定した。
「 いいえ、彼女はただのツンデレではありません。異常なまでのツンデレなんです!」
「 異常なまでの?」
「 はい……。"ツンデレ女王 金谷琴葉" は、事あるごとにツンデレを発動してしまうのです。もはやツンデレに取り憑かれていると言っても過言ではありません。その異様なツンデレぶりから狂力は2900という高数値にまでなっています」
「 狂力2900か……。愛宮さんや桃園さんに比べると少ない数値だが、一般人の狂力を100と考えるとかなりの狂力だな……」
「 その通りです……」
と、このような会話を普通にしているのだが、よくよく考えてみると、僕たちは一体何を言っているんだろう? と、なってしまう。
狂人ランキングだの狂力だの、この学校に早くも慣れてしまった。
それも全てこの学校がおかしいせいだろう。
( 大和、お前も何かイカれた趣味とかないのか? 折角だから大和も狂人ランキング入りを目指してみたらどうだ?)
( 絶対に嫌だ!!!!)
ヨナさんは何を訳わからない事を言ってるのだろうか。
なぜ、自ら進んで狂人な道を歩まなければならないのだ。
( 大和つまんね)
( つまんなくていいんだよ)
僕は山君、そしてヨナさんと会話をして朝の時間を過ごしていたのだが……。
カシャ! カシャ!
「 山君、あいつ何やってんの?」
山君と会話をしている途中、一番前の席の真ん中で、机の上に置いたであろう鉄の塊のような物体の写真を撮り続けている男子生徒がいた。
短髪でメガネを掛け、口元に大きなほくろがあるその男子生徒は鉄の塊に夢中のようだ。
「 ああ、彼は
「 どぅわぁ! せんななひゃく!!」
「 龍美君、どうしたんですか?」
「 いや、ちょっとね……。話を続けてくれ」
「 ……? はい。鳥山君は鉄道オタクではなく、鉄オタクなんです。鉄をひたすら写真に収める鉄ファンなんです」
「 いや意味分からないから」
( 鉄を撮って何が楽しいんだ?)
( 僕に聞かれても分かるわけないだろ……)
「 まあでも、彼は基本的に鉄にしか興味は無いので害は無いですよ」
「 そうなんだ……。変わった奴もいるもんだなぁ」
まあ、この学校には変わった奴らばかりいるんだけど。
そんなこんなで、山君、ヨナさんと会話をしながら朝の時間を過ごした。
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