転移したら孤島の中でした。生き延びるために、まずは快適さを追求します。
@keiko456
第1話
翌朝、薄明かりが射し込む中、俺は目を覚ました。鳥の声が近くから聞こえてくる。昨夜の焚き火はかろうじてまだ燃えていて、暖かさが残っているのが救いだ。
「はあ……。やっぱり夢じゃないんだな……。」
この島に来てから、すでに2日が過ぎている。水も食料も限られているが、少しずつ生き延びる方法を見つけてきた。だが、この異常な状況から抜け出す方法はまだ見つかっていない。
「今日こそ、何か進展があるといいんだけど……。」
俺は弁当の残りを少しだけ口にし、再びサバイバル生活に向けて動き出した。まずは、拠点の強化だ。昨日作った壁はまだ不安定だから、木材をもっと集めて補強する必要がある。
拠点に戻ると、昨日積み上げた木の壁は少し傾いている。何本か杭を打ち込んで、壁をしっかりと固定する。作業がひと段落ついたころ、ふと周囲に目をやると、何かが光っているのが見えた。
「……なんだ、あれ?」
森の中で光っているものを見つけた俺は、慎重に近づく。そこには、奇妙な石のモニュメントがあった。どうやら人工物のようだが、ここに人がいる気配は感じない。モニュメントの表面には、見たこともない文字が彫られている。
「これ……異世界っぽい感じか?」
俺は軽く手で触れてみた。すると、その瞬間、石が微かに震え、青白い光を放ち始めた。周囲の空気が変わり、まるで何かが起こる前兆のような静寂が広がる。
「何だ……? この感覚……。」
突然、背後から音がした。振り返ると、森の中に獣の影が見えた。今まで一度も見たことのないような大きな生き物が、こちらをじっと見つめている。
「え、嘘だろ……!?」
体長は2メートルを超えるだろうか。巨大な獣は、ゆっくりとこちらに近づいてくる。慌てて逃げようとしたが、足が動かない。恐怖で固まってしまった俺は、必死に頭を働かせる。
「このままじゃヤバい……! でも、逃げられそうもない……!」
その時、手にしていたカッターを思い出した。武器にはならないかもしれないが、少しでも時間を稼げるかもしれない。俺は覚悟を決め、カッターを構えた。
しかし、獣が俺に飛びかかろうとした瞬間、再びモニュメントが強く光り、俺の周りに青白いバリアのようなものが現れた。獣はそのバリアにぶつかり、後退していく。
「えっ、何が……?」
訳がわからないまま、俺はモニュメントの力に助けられた。獣はバリアの前でしばらくうろついていたが、最終的には森の中へと消えていった。
「助かった……のか?」
体の力が一気に抜け、俺はその場に座り込んだ。どうやら、このモニュメントには何らかの魔法的な力が宿っているらしい。これをうまく利用できれば、もしかするとこの島での生活がもっと楽になるかもしれない。
その夜、焚き火の前でじっと考えた。今までのサバイバルは、食料や水を確保することが主だったが、このモニュメントの存在は、これからの生活に新しい可能性をもたらすかもしれない。
「強くなるんじゃなくて、快適に生き延びる……それが俺の目標だ。」
明日からは、もっとこのモニュメントの力を調べて、うまく利用できるようにしてみよう。快適さを追求するサバイバル生活が、今始まったばかりだ。
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