第17話: 討伐報告と初めてのダンジョン挑戦準備

ゴブリンの巣を壊滅させたレンは、夕暮れの中、アルヴァナの街へと足を踏み入れた。彼の背には戦いを終えた達成感があったが、心の中では次の挑戦が待っていることを自覚していた。冒険者ギルドの前に立ち、レンは扉を押し開ける。


ギルドの中はいつも通りの賑わいを見せていた。冒険者たちが新しい依頼を探したり、討伐報告を行ったりしている。レンは静かにカウンターに向かい、いつもの受付の女性に声をかけた。


「ゴブリン討伐、無事に完了しました。リーダーゴブリンの牙を持ってきました」


受付の女性はレンの持っている牙を見て目を見張った。「お疲れ様です、レンさん!リーダーゴブリンを討伐するなんて、本当に見事です。証拠を確認させていただきますね。」


レンはバッグからリーダーゴブリンの牙を取り出し、彼女に手渡した。彼女はその牙を慎重に確認し、頷きながら記録をつけていく。


「確かに、リーダーゴブリンの牙ですね。お見事です。依頼完了となりますので、こちらが報酬になります」


女性が手渡してきたのは銀貨20枚が入った袋だった。銀貨20枚は、これまでレンが受けた報酬の中でも最も大きな額だった。それはこの討伐の危険度の高さを物語っている。


レンはその重みを手の中で確かめ、感謝の意を込めて軽く頭を下げた。「ありがとうございます。これで次の準備ができます」


「こちらこそ、レンさんの活躍にはいつも驚かされます。次もお気をつけて」


レンは銀貨の入った袋を腰に結び、ギルドの扉を開けて外に出た。冷たい風が夕暮れの空気と共に彼の肌を撫でる。空は赤く染まり、街並みも夕日に照らされてオレンジ色に輝いていた。


「次は……6級ダンジョンか」


レンは街の通りを歩きながら、次に挑むべき6級ダンジョンのことを考えていた。6級ダンジョンは冒険者にとっての最初の関門とも言える場所で、そこをクリアしなければ次のランクに進むことはできない。今までの依頼とは違い、ダンジョン攻略には長期戦となる可能性が高い。


「装備をもっと強化しないとな……」


レンはそう自分に言い聞かせながら、次に訪れるべき場所を思い出した。6級ダンジョンに挑むためには、武器や防具をさらに強化する必要がある。これまで使用してきた剣は十分に力を発揮してくれたが、今後のより困難な戦いを考えれば、もう少し信頼できるものが欲しいところだった。


「ダリオの工房に行こう」


レンは迷うことなくダリオの工房に向かった。彼が信頼する鍛冶師ダリオは、これまでの戦いにおいて彼の武器や防具を支えてくれた重要な存在だ。今回のダンジョン攻略でも、その助けを借りることにした。


ダリオの工房に到着すると、鍛冶の音が店内に響いていた。扉を開けると、店の奥からダリオが顔を覗かせ、レンの姿を見るやいなや笑顔を見せた。


「おお、レン!帰ってきたか。ゴブリンの巣を壊滅させたって聞いたぞ。剣の具合はどうだった?」


「おかげで問題なく使えました。ゴブリン討伐も無事に完了しましたよ」


「そうか、それは良かった。で、今日はどうしたんだ?」


レンは少し緊張しながらも、次の挑戦について語り始めた。「次は6級ダンジョンに挑むつもりです。だから、もっと強力な装備が必要で……ダリオさんの助けが欲しいんです」


ダリオはレンの言葉を聞き、真剣な表情になった。「6級ダンジョンか……お前もついにその域に達したか。あそこは一筋縄じゃいかないが、準備さえしっかりしていれば突破できる。任せときな。今回は、前回以上にしっかりとした装備を用意してやるよ」


ダリオは自信満々に言い放ち、すぐに作業に取り掛かった。彼の手際は早く、剣を再度研ぎ直し、強化を施す作業が進められていった。レンはその様子をじっと見つめながら、ダリオの熟練した技術に感謝の念を抱いた。


しばらくして、ダリオは新たに強化された剣をレンに手渡した。その剣は、前回よりもさらに鋭く、光を反射して眩しいほどに輝いていた。防具もまた軽量化され、動きやすさと防御力が強化されている。


「これで準備は整った。あんたなら6級ダンジョンも突破できるさ。気をつけて行けよ」


レンはその言葉に深く感謝し、ダリオの工房を後にした。装備をしっかりと整えたことで、次の挑戦に向けて自信がついていた。


その夜、レンは宿に戻り、次の日の6級ダンジョン挑戦に備えて体を休めることにした。これまでの戦いとは異なり、ダンジョンの攻略には長期間の準備が必要だ。無限成長の力があっても、装備や戦略が揃わなければ、簡単に乗り越えられるものではない。


「明日は……6級ダンジョンだ。ここで成長を証明してみせる」


レンは静かに決意を固め、心を落ち着けるように深呼吸をした。そして、次の挑戦に向けた期待と覚悟を胸に眠りについた。


この第18話では、レンがゴブリン討伐の報告を終え、初めての6級ダンジョンに向けた装備強化と準備を整える様子をより詳細に描きました。次回は、いよいよ6級ダンジョンへの挑戦が描かれます。



ーーーーーーーーーーー

本日5話更新となります。


【応援のお願い】


いつもありがとうございます!

☆をいただけると大変助かります。皆さんの応援が大きな力になりますので、ぜひよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る