第16話: ゴブリン討伐 - リーダーとの激戦

リーダーゴブリンが鋭い咆哮をあげ、レンに向かって突進してきた。その巨体が揺れ、洞窟内の空気が歪むかのように震えた。通常のゴブリンとは桁違いのスピードと力を持つこのリーダーゴブリンを前に、レンは緊張を隠せなかった。


「速い……!」


リーダーゴブリンの巨大な爪が、稲妻のような速さでレンの顔に迫る。レンはギリギリのタイミングで体をひねり、剣を盾のように使って攻撃を受け流した。衝撃が腕を通して全身に伝わり、剣が大きく鳴り響く。


「くっ……!」


剣を振り上げてすぐに反撃に転じたが、リーダーゴブリンも素早く後退し、距離を取る。彼の動きは驚くほど鋭く、レンの攻撃を簡単に回避してしまった。レンは冷静さを保ち、深呼吸をして次の一手を考えた。


「こいつは……ただの力任せじゃない。動きを見極める必要がある」


リーダーゴブリンは鋭い目でレンを睨み、次の攻撃の機会をうかがっている。その知性を感じさせる目が、レンに圧力を与えていた。


しばしの沈黙の後、リーダーゴブリンは再び動いた。今度はレンを左右に翻弄しながら、一瞬で間合いを詰めて爪を振り下ろす。洞窟内の狭い空間では、その巨体が障害となるかと思いきや、リーダーはその巨体をものともせずに機敏に動く。


レンは辛うじて攻撃を避けつつ、反撃のチャンスを狙っていた。だが、その瞬間、リーダーゴブリンの咆哮が響き渡り、洞窟の奥から複数の足音が近づいてくるのを感じた。


「まさか……まだゴブリンが!」


リーダーゴブリンの合図に応じるかのように、洞窟の奥からさらに数匹のゴブリンが現れ、レンを囲み始めた。リーダーゴブリンだけでも手強い相手だというのに、今度は数の優位も持たれてしまった。


「くそ……数で押してくるつもりか」


レンは一瞬焦りを感じたが、すぐに冷静さを取り戻した。この状況下でも無限成長のスキルが発動している。戦いが長引けば長引くほど、彼の力は戦闘を通じて強くなっていく。


「俺は、もっと強くなる……!」


ゴブリンたちが一斉に襲いかかってくる。狭い空間の中で、彼らの攻撃が一度に集中しようとするが、レンはその動きを読み取りながら一匹一匹を的確に捌いていった。剣の動きが速く、正確になり、攻撃の威力も上がっているのがわかる。


最初のゴブリンが剣をかわそうとしたが、レンの一撃が深く入り、そのまま斬り倒された。次に別のゴブリンが後ろから飛びかかるが、レンは振り向きざまに剣を振り下ろし、その動きを封じる。周囲のゴブリンたちはレンに次々と倒されていくが、彼らの数は多く、次々と現れる。


「無限成長のスキル……これがなければ、今の俺には厳しいかもしれない……」


レンはその力がさらに高まり、ゴブリンたちを難なく倒していく。体力は消耗しているはずだが、戦いの中でレンは疲労を感じることなく、むしろ強さを増していく感覚があった。戦いが進むほど、彼の剣は鋭さを増し、体の動きが軽くなっている。


やがて、ゴブリンたちは全滅し、残されたのはレンとリーダーゴブリンだけだった。レンは大きく息を吸い込み、リーダーゴブリンを睨みつけた。リーダーはその目でレンの実力を見極め、怒りと焦りを感じているかのようだった。


「お前が残ったか……ここで終わらせる!」


リーダーゴブリンは鋭い爪を再び振り上げ、全力でレンに突進してきた。洞窟の空間が震えるほどの勢いだったが、レンはその攻撃に冷静に対応した。動きを見極め、リーダーの攻撃をギリギリでかわしながら、次の瞬間には自らの剣を振り抜いた。


「これで終わりだ……!」


レンの剣はリーダーゴブリンの巨体に深く突き刺さった。リーダーゴブリンは苦しそうに吠えたが、その巨体は徐々に力を失い、ついに地面に崩れ落ちた。


リーダーゴブリンは最後の力を振り絞るように、レンを睨みつけたが、彼の目は次第に力を失い、そのまま静かに息絶えた。


「終わった……」


レンは剣を抜き、倒れたリーダーゴブリンの牙を討伐の証として収集した。洞窟内には再び静寂が戻り、長い戦いが終わったことを実感した。


レンは疲労した体を引きずりながら、ゆっくりと洞窟の出口へ向かった。外に出ると、冷たい風が顔を撫で、夕日の光が森全体を黄金色に染めていた。レンは達成感に満たされながら、ゴブリンの巣を完全に壊滅させたことを実感した。


「無限成長のスキルが、俺をここまで導いてくれた……」


レンはその力を再確認しながら、街に戻る道を進んでいった。次の冒険がどんなものになるかはまだ分からないが、今回の戦いを通じて得た自信が、彼の心に新たな決意をもたらしていた。


「これからも……俺はもっと強くなれる」




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本日5話更新となります。


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