第10話: 新たな依頼

朝日が差し込む窓の光で目を覚ましたレンは、昨日の疲労がすっかり取れていることに気づいた。宿での快適な夜を過ごしたおかげで、体力も完全に回復している。レンは軽く体を伸ばし、ベッドから起き上がると、これからの予定を頭の中で整理し始めた。


「次はどんな依頼に挑むかな……」


ホーンラビット討伐の依頼を成功させたことで、冒険者としての自信が大きくなっていた。しかし、彼はまだ初心者に過ぎない。無限成長のスキルのおかげで、戦うたびに自分が強くなっているのを実感できたが、さらなる挑戦が彼を待っている。


昨日の依頼報酬は、銀貨数枚程度だったが、レンにとっては冒険者としての道を踏み出す大きな一歩だと感じていた。この調子で依頼を重ねていけば、もっと難易度の高い依頼にも挑戦できるようになるだろう。だが、まずは次の一歩が必要だ。


「次は少し難易度の高い依頼を受けてみようか……」


レンは朝食を取りに宿の食堂へ向かった。食堂では他の冒険者たちが軽い朝食をとっており、レンも彼らの一員として温かいスープとパン、そして少量のチーズを楽しんだ。食事を終えると、彼は早速街を出て、冒険者ギルドへ向かうことにした。


アルヴァナの街は、朝の陽射しに包まれ、活気に満ちていた。通りには商人や旅人、そして冒険者たちが行き交い、それぞれの目的地に向かっていた。レンは、街の中央にある冒険者ギルドを目指して歩きながら、昨日のホーンラビットとの戦いを思い出していた。


ホーンラビットは小さなモンスターだったが、その素早い動きと、群れで襲ってくる性質は厄介だった。それでも、無限成長のスキルのおかげでレンは戦いながら成長し、最終的に討伐に成功した。それが自分の成長の証であり、次の戦いでもさらに強くなれるという確信を彼にもたらした。


「次の依頼はもっと強敵に挑戦してみよう……」


そう考えながら、レンはギルドの前に到着した。冒険者ギルドの石造りの大きな建物は、今日も多くの冒険者たちで賑わっていた。ギルドの中へ入ると、さっそくカウンターの前に立ち、次の依頼を探すために掲示板へ向かうことにした。


ギルドの掲示板には、無数の依頼が貼り出されている。討伐依頼、護衛依頼、調査依頼、運搬依頼など、種類は様々だ。レンはそれらをじっくりと眺めながら、次に挑むべき依頼を探していた。ホーンラビット討伐は初心者向けの依頼だったが、次はもう少し難易度の高いものに挑戦してみたい。


レンの目に留まったのは、「ウルフ討伐依頼」だった。ウルフはホーンラビットに比べてはるかに危険なモンスターだ。彼らは群れで行動し、鋭い牙と素早い動きで冒険者を追い詰める。しかし、レンにとってはこのウルフ討伐が次の大きな試練となるだろう。


「これにしよう……ウルフ討伐」


レンはその依頼書を手に取り、カウンターへと戻った。昨日対応してくれた受付の女性が、今日もカウンターの向こう側に立っていて、レンが持ってきた依頼書を確認すると、少し驚いたような表情を見せた。


「ウルフ討伐ですか……ホーンラビット討伐に比べて、少し難易度が上がりますが、大丈夫ですか?」


彼女は心配そうに尋ねたが、レンは自信を持って頷いた。


「はい、大丈夫です。もっと強い相手に挑戦してみたいんです」


受付の女性は、彼の決意を感じ取り、優しく微笑んだ。


「わかりました。ウルフ討伐依頼ですね。危険な相手ですが、レンさんならきっと乗り越えられるでしょう。無理せず、気をつけて行ってきてください」


彼女は手際よく依頼を処理し、レンに応援の言葉をかけてくれた。レンは感謝の意を伝え、依頼を正式に受けると、ウルフ討伐のための準備に向けてギルドを後にした。


ウルフ討伐が行われるのは、街の東に広がる広大な平原だ。ウルフはこの平原で群れを作り、農民たちの家畜を襲うことで被害をもたらしている。レンは街の市場に寄り、討伐に備えてポーションや回復薬を購入した。ウルフとの戦いは、これまでの戦闘とは違う危険が伴うため、しっかりとした準備が必要だ。


市場では、多くの商人や冒険者が賑やかに取引をしており、レンはその活気に包まれながら必要な物資を揃えていった。回復ポーションや、万が一の際に使える応急キットなどを購入し、装備の点検も入念に行った。


準備を整えたレンは、街の東門へ向かい、ウルフが潜む平原へと足を運んだ。平原は風が吹き抜け、草木が揺れている静かな場所だったが、その奥には危険なウルフたちが待ち構えている。レンは剣を握りしめ、心を落ち着けて前へと進んだ。


「ここでウルフを討伐し、さらに成長するんだ……」


レンは自分に言い聞かせ、ウルフたちとの戦いに備えて体を動かし始めた。風が草原を揺らし、遠くにはウルフたちの姿がちらほらと見える。鋭い牙と素早い動きで知られるウルフは、群れをなして行動し、集団で敵を追い詰める。


「これまでの戦いとは違うが……俺ならやれる」


無限成長の力を信じ、レンは確実に前進した。ウルフとの戦いは彼にとって大きな試練となるが、それを乗り越えた先にはさらなる成長が待っていると確信していた。


ウルフたちがレンの姿に気づき、獲物を狙うように動き始めた。レンは剣を構え、一瞬の緊張感が全身を駆け抜ける。


「来い……俺は強くなれる!」


次の瞬間、ウルフたちは一斉にレンへと襲いかかってきた。レンは鋭い動きで剣を振り、最初の一撃をかわしながら反撃の準備を整えた。ウルフたちとの戦いが、今まさに始まろうとしている。



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1日1話ずつ7:00に更新していきます。


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