無限成長の力で異世界を駆ける! ~一代限りの騎士爵家から始まる古代迷宮攻略~
りおりお
第1章: 騎士爵家の末っ子と冒険の始まり
第1話: 貧乏騎士爵家の末っ子
朝の陽光がゆっくりと窓から差し込み、レンの目を覚まさせた。目を開けると、見慣れない天井が目に入る。しばらくぼんやりとしたまま、彼は天井を見つめていたが、次第に現実に引き戻されていった。
「ここは……」
レンは小さく呟きながら身体を起こし、室内を見渡した。古びた木製の家具、質素な壁、そして所々にほこりが積もった机や椅子。すぐに彼は自分が日本ではなく、異世界「エルトリア」に転生したことを思い出した。何もかもが異質なこの世界で、彼は「フォード家」という一代限りの騎士爵家の末っ子として新しい生活を送ることになった。
「まさか、本当に異世界に転生するとはな……」
自分でも驚くしかない現実に、レンは苦笑を浮かべた。騎士爵家とはいえ、この家にはかつての栄光はない。広い屋敷はどこか寂れた感じで、かつての富や名誉の面影は見る影もない。彼はベッドから降り、足元に散らばる小さな石を避けながら、窓辺に立った。
外に広がる光景は、まさに異世界と呼ぶにふさわしいものだった。青く澄み渡る空に広がる草原、遠くにそびえる山脈、そして見慣れない動物たちがゆっくりと歩いている。
「これが俺の新しい世界か……」
彼は深い息をついた。この世界で自分はどのように生きていくべきなのか、まだその答えは見つかっていない。しかし、彼にはこの世界で手に入れた特別な力――「無限成長」があった。
レンは右手を見つめ、力を感じ取ろうとした。特別なスキル「無限成長」、それはあらゆる能力が際限なく成長し続けるという、異常なまでのポテンシャルを秘めた力だ。戦闘技術、魔法、知識、どんな分野でも成長し、限界を知らない。さらには仲間にもその成長が反映されるという能力も含まれていた。
「このスキルがあれば……俺も、もっと強くなれる」
彼はスキルをまだ完全に理解していないが、それでもこの力が自分を成り上がらせる鍵だという確信はあった。この世界において、騎士爵家の末っ子という立場に甘んじるつもりはなかった。むしろ、自分の手で未来を切り開くのだと、レンは強く思った。
部屋の扉が軽くノックされた。続いて、ゆっくりと扉が開き、中から現れたのは兄のアーサーだった。アーサーはレンの長兄で、フォード家の家長的な存在でもある。彼は領主の軍に所属しており、家を守るために日々忙しく働いていた。
「レン、起きていたか」
アーサーの落ち着いた声が部屋に響く。彼は立派な体格をしており、背筋を伸ばしたその姿は、騎士としての風格を感じさせる。そんな彼が弟の部屋を訪れるのは珍しいことだった。
「うん、起きてたよ。兄さんは軍で忙しいんじゃないの?」
レンは振り返り、アーサーに答えた。アーサーは軽く頷きながら、窓辺に立つレンの横に近づいてきた。
「確かに忙しいが、お前のことが気になってな。最近どうだ?この家での生活は慣れたか?」
「まあ、まだ完全には慣れてないけど、大丈夫だよ」
レンは少し笑いながら答えたが、心の中ではこの家での生活がどれほど不安定なものであるかを感じていた。家族仲は悪くないが、長男のアーサーと次男のライルが軍に属しているため、家にいることは少なく、家を守る責任は自然とレンの肩に重くのしかかっていた。
「兄さんたちが軍で働いているのを見てると、俺も何か役に立ちたいって思うんだ」
「無理をする必要はないさ。父も、お前には自由に生きてもらいたいと言っていた」
アーサーは穏やかな笑みを浮かべ、レンの肩に手を置いた。その言葉に少し救われた気がした。確かに、自分にはまだ何も成し遂げられていないが、自由に生きる道が許されているのなら、それを最大限に活かしたい。
「実は、冒険者になろうかと思ってるんだ」
レンは自分の考えを率直に伝えた。冒険者としての道を選び、この無限成長の力を試す。それが今の彼にとって最も自然な選択だった。アーサーはその言葉に驚きもせず、ただ静かに頷いた。
「冒険者か。それも悪くない選択だ。お前の持つ力なら、きっとすぐに頭角を現すだろう。まずはギルドに登録してみるといい。簡単な依頼からこなして、徐々に自分の力を試していけばいいさ」
「ありがとう、兄さん。俺、頑張るよ」
レンは力強く頷いた。アーサーの助言を胸に、彼は冒険者としての第一歩を踏み出す決意を固めた。今はまだ何も成し遂げていないが、この無限成長の力を使えば、きっと自分自身を変え、この世界で大きな成功を収められるはずだ。
翌日、レンは早速冒険者ギルドへと向かう準備を整えた。装備はまだ簡素なものしか揃っていないが、それでも心は大きな期待感で満たされている。未知の冒険が彼を待っていることに、胸が高鳴る。
「この無限成長の力で、俺はきっとこの世界で伝説を作ってみせる」
窓の外を見つめながら、レンはそう心の中で誓った。フォード家の末っ子として何も引き継ぐことはできなかったが、これからは自分自身の力で未来を切り開いていくのだ。
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