人の中にある宇宙、その名が神としたら

剣の君

第1話 僕の守護神さん

 己の中にあるものが本当に、自分の真実なのか。君は考えたことがあるか。

そのように問いかけるものあり。

僕は目が覚めて、あの夢の続きが見たいと初めて思うのだった。

僕にとって、日常的な生活は退屈で、窮屈で、貧しくて…耐えられないほど、苦痛だった。勧誘にはすぐ溺れ、怪しげな宗教儀式に連れて行かれ…僕はそんな彼女が綺麗だからつい、ついて行ったのだが。


 とんでもない世界だな。

僕がびっくりしていると、彼女はこう言った。「あなたの後ろには、龍がいます。何か身に覚えは?」

「はあ?ウチの実家は龍神の里と言うけれどな。」

「じゃあ、あなたは、龍の村に行って、天川龍神社に行くといいですね」そんな話から彼女の顔しか見ていなかった僕の、怪しい体験が始まった。


 僕はその夜、夢をみる。

どんな世界にも、悪き存在と、良き存在は、宇宙の中と外で争いを続けており、破れた宇宙の隙間から、悪魔やもっともっと力を持ったタチの悪そうな連中が来るのだ。

それらは、この宇宙に馴染むどころか、来てすぐに繁殖しようとして絶滅するものがいたり、単身でやってきて、ただ、デカいだけの奴らもいる。

僕の大事な神である、狐の神様は、炎に包まれていて、強かった。

けれど最も嫌いなものは、サキュバスと言われる女の形をした悪魔だ。彼らは容赦なく、冷たい吐息で僕らを凍らせ、いく手を阻むどころか、僕らを殺して回る変態だった。

恐ろしいか。恐ろしいなら僕と契約をして、卵を産むのだ。そうしたら、僕と君は最強になるだろう。狐は確かにそう言った。

僕は男だし。きみ、僕はって言ったよね。オス同士で、卵できるの。

そんな素朴な質問をして…宇宙の端から光が迎えにきて、僕は目が覚めた。


 そんな日の朝に、空に浮かぶ雲の隙間から、巨大な天使が朝の祈りを捧げているのがはっきりと見える。

僕は、頭がどうにかしてしまったのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る