時とは、何か
砂利じゃり
第1話 過去
熱い、熱い、熱い。
お腹が、焼けるように熱い。
けれど、それ以外のところはひどく冷たくて、私の命令を無視するように固まっている。頭が朦朧として、足が震えて、立っているのも面倒だ。正直、すべてを投げ出して、今すぐ床に臥せたい。
でも、歩かなきゃ。
歩かなきゃ、いけないんだ。
足に力が入らない。手が震えて、杖がうまく握れない。魔力を含んだ血液が、私のお腹から流れ出していく。どんどん頭が回らなくなっていって、とりとめない思考がぐるぐるとし始める。私の脳には、さっき見たばかりの映像が繰り返し流れてた。
さいしょは、みんな、みんなが居て、それで、一人ずつ、一人ずつ…。
「あ…。」
急に気が付いた。今、わたしは一人なんだ。
そう思うと、さっきよりも寒さが増してくる。我慢していた涙が溢れて、痛みでぐちゃぐちゃの顔をさらに情けなくした。
「ぐ…うう……ひっぐ」
でも、歩きを止めてはいけない。私に止める権利はない。既にこの体は、私のためだけにあるのではないのだから。
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