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LIFE 0
雨のように降り注ぐ涙と体が焼かれるような熱さと痛みを感じながら、私は死んだ。
空へと浮いていく意識にこんなあっさり死んでしまうのかと一人絶望した。
そうして、大切な人を守って死んだ……筈だった。
浮いている最中に強烈な眠気に誘われるがままに目を閉じて心地よく眠ろうとしていたのに誰かの声で起こされた。
“お前が生まれ変われるならどんな姿になりたい?”
「は?」
“女になりたい?それとも、男?”
「なにこれ。私、死んだ、よね?なら、これきっと夢、だよね?……なら、男、かな。守りたい人を守れるくらい強くてガチムチになりたい」
“が、ガチムチ?……わかった。名前はどうする?”
「名前?」
“無ければ、しめじになるけど”
「え、それはちょっと、……じゃ外国人っぽい名前の……、サミュエルで」
“サミュエル?なんでその名前なの?”
「推しの名前、だから?」
“推し?ま、いいや。じゃ、契約成立ということで”
真っ暗だった世界が急に明るくなった。それと同時に眠気も何処かへと行ってしまった。
明るくなったことでずっと目を閉じていると勘違いしていることに気づいた。
目の前にはネットで密かな人気を集めている某狐に似た顔の男性が机の上で手を組んで座っていた。
突然、よくわからない状況に放り出されて困惑しているのに目の前の男性は爽やかな笑顔でこう言い放った。
「ようこそ。最高に楽しくて愉快な職場へ」
何の説明もなく、しかも、誰かもわからない人に強制採用通知をされた私は呆然と立ち尽くすしかなかった。
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