第22話 【ルーク】危ない仕事
闇に紛れながら、今日の任務にたとうとすれば、悔しげに吐き捨てるのは……ミシェルが一番信頼しているメイドであり、俺たちの仲間である。
「隊長、ミシェルお嬢さまを泣かすだなんて……!」
「お前も分かっているだろうが。俺は……騎士だ。お嬢が俺に気を持っちまったんなら、それは許されないことだ。ならば、突き放すしかないだろう」
「それは……っ、しかしミシェルお嬢さまは悲しんで……っ」
「ミシェルの気持ちに誰よりも寄り添える、お前がいるんなら、俺はどんなにミシェルに恨まれようと、ミシェルの側で、いや……影で守るだけだ」
「……バカですね……あなたが隣にいないと、意味がないでしょう」
エマの言葉は、敢えて聞こえないふりをした。俺は……この思いからは耳を塞がないといけない。ミシェルを守るために、大事なものを守るために。
そして俺は任務に向かった。少々手荒い戦闘になりそうだが……構わない。雑念は捨てろ。やっとのことでミシェルたちの手にした平和を脅かすものは……この手で屠る……!
――――ここはホワイトベル公爵家。
ひとり引きこもる娘。そして危機を悟ったホワイトベル公爵は領地への秘密裏の逃亡をはかる気だ。
公爵は娘にすらそのことを告げていない。直前に告げ、娘をうんともすんとも言わせぬまま連れ出す気である。
本当にこのクズ親子は、昔から娘を愛玩動物のようにしか見ていない。
その異常なまでの溺愛も、狂愛も、全て彼らの都合のいい、物言えぬ人形に向けられたものだ。
「娘にまで見せる必要はない」
「よろしいので」
闇の中から影が答える。
「娘は、娘で決めよ。自分の歩む道を、自分が歪めた世界を、どう生きるか」
あいつらに決めさせてやる筋合いはない。だから……まずは、お前たちだよ、ホワイトベル公爵……!
夜逃げしようとするホワイトベル公爵の前に躍り出れば、ホワイトベル公爵家の騎士や、隠密たちが抵抗を見せてくる。当然、彼らもホワイトベル公爵家に何かあれば共倒れだからこそ、負けられないのだ。
「わ……私を殺せば……何もかも……っ」
「一足先に離脱したアンリや仲間たちのお陰で、あらゆる証拠は揃っている」
「アンリ・アンバー!あのヤロウ!目をかけてやったのに、あの裏切り者め!」
「恨むなら己の人望のなさを恨めよ」
そう蔑むように笑み、そして凶刃を放つ。
ぶつかり合う2勢力。闇と闇がぶつかり合い、血飛沫が舞いつつも、負けられぬ。逃がすことはしない。
死闘を得て、己の手勢を失い脅えるホワイトベル公爵を拘束する。泣きわめいて何かを言っているが……それは娘のことか……?さぁ、どうだか。少なくともその名には、今のコーデリア以外のものが混ざっている。
しかしなぁ……少し、やり過ぎたか。
「隊長、怪我を」
「どうってことない」
仲間が心配そうに問うてくるのに、そうさらりと答える。
俺は、絶対に死なない。今度こそ……やっと見付けたあの子を守り抜くと、決めたから。
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