第19話 王城からの招待状
――――その日、ナイトレイ公爵家では。
「は……派手じゃないかしら……」
「大丈夫よ!よく似合ってるわよ、ミシェルちゃん!とってもかわいいわ!」
公爵家を訪問してくれたティルダさまが太鼓判をおしてくれる。
「そうですわ。ミシェルお嬢さまはおかわいらしいのですから」
エマも笑顔で頷いてくれる。これも……一応ヒロイン顔だからかしらね……。
さて、本日は私のドレス合わせである。
貴族令嬢になったからには、社交に慣れることも必要。今まではそんな世界とは無縁なハリボテの令嬢だったけれど、今は違う。
お父さまの養女として、お兄さまの妹として、公爵家と男爵家の名双方に恥じない令嬢でいたい。
だからこそ、王城から届いた招待状をお父さまに見せられ、『嫌なら断っていい』とも言われたけれど。でも私は、挑んでみようと思ったのだ。
王城で開かれるパーティーには、お父さまやお兄さまはもちろん、カーマイン侯爵家のティルダさまたちも参加してくれる。
とは言え、パーティーに参加する前段階にて新品の高級ドレスをオーダーするのは気が引けてしまったのだ。しかしそれならとティルダさまが昔着ていたドレスを手直ししたものを着てはどうかと勧めてくれた。
ティルダさまが着ていたドレス……少し緊張したが、私に似合いそうな色のドレスを選んでくださったティルダさまの気持ちが嬉しくて……。
そして仕上がったお下がりのドレスを着てみた私を、とても褒めてくださる。
「さて……それじゃぁ殿方の意見も聞いてみましょ!」
と……殿方って……!?
部屋に通されたのは……。
「る、ルーク……っ」
思わず頬が紅潮する。その……変なこと、言われないかしら。似合ってなかったら、どうしよう……!
「なかなか似合うな」
しかしその口から漏れでた言葉は、私の戸惑いとは裏腹に、すとんと心の平穏をもたらしてくれるものだった。
けれど……そのはずなのに、何故か心臓がバクバクで、鳴り止まない。
「うん?」
そしてにこりと爽やかな笑みを作る。
うぅ……これが年上の余裕?だけどそんなところに憧れたのも……事実だ。
「当日のエスコートはお任せを」
そう言って私の前に跪いたルークが、私の手を取ると、まるで呼吸をするように手の甲に口付けを贈ってきた。
「ちょ……っ」
ティルダさまもエマもいるのに、いきなり……っ!?いや……これはその……ただの騎士の忠誠心……!そう、よね?しかしルークの浮かべる笑みはその答えをなかなか出してくれないのだ。
「まぁ、いいわね!私も久々に旦那跪かせようかしら!」
「ティルダさま、それは意味が違いますよ」
しかしながら、ティルダさまとエマの会話に、ふと平常心を取り戻す。
しかし……近衛騎士団長もとい……侯爵さまを跪かせる……?
「ほんと、どんな女傑だろうねぇ」
ルークの呟きに、確かにティルダさまには女傑と言う言葉が似合うと感じてしまったのは……内緒である。
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