異世界に飛ばされたら超越者とかいう最強のジョブをもらいました~この世界いろいろやばいですがこのジョブとともに頑張ろうと思います
水無月のん
異世界転移編
第1話 異世界に飛ばされました
3時間目、数学。眠い、しかしこの先生は寝たらめんどくさい先生だから寝ることができない。
シャーペンを腕に突き刺し、なんとか寝ないようにと奮闘する。
「じゃあ、ここの関数のグラフを…佐藤、書いてくれ」
はい終わったー、眠気覚ますのに必死でそんなの聞いてねえよ…
眠気は一気に覚めるも、黒板の横に立つ先生の顔と、みんなの様子をみて焦る。
椅子を引く「ガタッ」という音が教室に響き、俺は黒板のほうへ向かう。
「こう…ですかね?」
「佐藤、お前高2なのに二次関数すらも描けないのか…」
しまった!二次関数だったか、なんか変なグラフを書いてしまった…
先生のその一言とともに、クラスメイトからも嘲笑を受ける。
しかし、俺のことを嘲笑せずに、ただ黙って見つめている女子が一人。
学級委員長の遥子さんだ。
「まあ佐藤みたいなやつもたまにはいる、みんなはここしっかり分かったかー?」
(くっそ気分わりぃ…もうこんな授業知らねー)
(は!なんだ!?)
そう思った次の瞬間、突然のことだった。
教室が白い光に包まれ、俺たちは空間ごと飛ばされた。
ーーーー
「いてて、なんだよ…って、おい!?」
目が覚めると俺たちは台座のようなものの上にいた。俺たちというのは、クラスメイトと数学の教師。来たのか…異世界に…?
【成功…しましたね】
【
何やら魔術師が着るような服を着て、魔術師が持つような杖を持っている女性が二人、その女性の後ろに数多くの白いフードを被った男女が跪いている。
「おい!ここはどこだ!?」
【ご安心ください、人間様の身体に危害を加えるようなことは決して…】
「私はこの生徒達の教師だ、一刻も早く私たちを開放しろ」
【それはできかねます、まずは王に謁見をお願いしたい。この通りだ】
魔術師と思わしき女性二人は俺たちに頭を下げて、お願いする。
するとクラスの陽キャ男子の一人がこう言う。
「まあ、お姉さんたちのお願いなら仕方ねえなぁ、なあ?お前ら」
「…斎藤くん。あまり調子に乗らないの」
すかさず学級委員長、または委員長が正論を放つ。
「第一、この人たちのことを信用できる?私はできない。急に飛ばされたかと思ったら、『王に謁見を…』って、いかにも怪しすぎるでしょ」
「それは違うよ委員長、僕たちはこの世界を救わないといけない。だから、僕たちはこの世界を助けないといけない(?)」
今の状況をまとめると、異世界と思われしきところに召喚され、王に謁見をと魔術師に頼まれる。陽キャたちは喜んで、委員長含む女子たちは怪しみ、オタクたちは世界を救おうと真面目。あ、ちなみに俺はオタクサイドだ。
【王に謁見していただければ、
心なしか、今の一言でオタクたちの鼻息が少し荒くなった気がした。
俺も何か言ってみよう。
「委員長、行ってみるだけでもどうですか?俺は賛成です」
「佐藤くんまで…先生はどう思いますか…?」
「ん-、行ってみるだけでも悪くないとは思う。第一、ここから元の世界に戻る方法を私たちは知らないワケだし」
委員長は少し考える、第一、先生よりも決定権が強い委員長とはなんなのか。
そう思案していると委員長は考えを固めた様子で言う。
「分かりました、行ってみましょう」
【ありがとうございます、人間様。それでは、ついてきてください】
そうして、俺たちは言わるままついて行く。儀式の場所みたいなところから出ると、すぐに謁見の間が見える。
【ここです、私たちの役目は以上となりますので、あとは王とその魔術師に役目を引き継ぎます】
また二人は頭を下げる、しかし今度は二人のうち、右側に立っていた女性のフードが少しめくれ、金髪がちらりと見える。すかさず、左側の女性がフードを被せる。
(あ、これ絶対後で怒られるやつだ)
とか思いながら、俺たちは謁見の間に入る。
「失礼する、単刀直入に言う。私たちはこの後、どうすればいい?」
【貴公ら、まずは跪きたまえ。王に失礼であるぞ】
槍を持ち、重厚な鎧を着た兵士たちに言われる。すかさず「お前ら、跪け」という先生の指示で、俺たちはそれぞれ困惑しながらも、言われた通りに跪く。
『よろしい…それでは、話を始めよう。あれを持ってこい』
従者は光の速度で色あせた紙を持ってくる。おそらく、地図だ。
王は座っていた椅子から立ち上がると、地図を従者から受け取り、俺たちにそれを見せる。
『かつて、私たちはここから離れた西にあるアルデイヤという地を開拓し、そこに王都をつくった。我々王家は先祖代々、アルデイヤを引き継ぐとともに、近隣の土地の支配も広げていった、しかし…』
王は持っている地図を一気に広げる。
『二百年前、魔王軍たちは、アルデイヤから西にあるフレガリー地方を急襲した。我々は油断していた、しかし、即刻に兵を向かわせた…だが…間に合わなかった。それから魔王軍は兵を東へ東へと進ませ、とうとうアルデイヤの目の前まで来ていた』
王は、こちらにやってきて、地図をよく見せる。今いる場所は…なんとなくわかる。それから、離れた場所の地図の色がすべて紫色に染まっていることに気づく。
『我々王族はアルデイヤを捨て、東に逃げた。アルデイヤにいた百万人の民を見捨てて。それから、残された者たちで、人間を幾度も召喚しようとするも失敗。そして、三百五十回目でようやく成功し、君たちはこの世界にやってきた』
そこまで言って、王は地図を従者に渡し、再び椅子に座る。
(で、俺たちに魔王を倒してほしいってことか…)
『単刀直入に言う。魔王を倒してくれないか?人間にだけ許可されたジョブを授ける、だから…』
「無理…だ。生徒たちを危険な目に合わせることはできない」
【王の命は絶対です。拒否すれば我々が存在を消すことになります】
その一言で多くの生徒が怖気づく。どうせはったりだ。
『やめんか、その行為は私が認めない。大丈夫、無理にとは言わない。しかし、褒美をたくさん授けることが我々にはできる。ジョブに恵まれれば、無双することだってできる。もちろん、怖いならこの
王はポケットに隠していたナイフで空間を切り裂くと、異空間へつながるような黒い扉ができる。
『この
「委員長…私、怖いかも…」
女子を見るとどうやら、なにか委員長に伝えている様子だ。しかも、体が小刻みに震えている。
「大丈夫よ、怖いのは私も同じ…だけど、みんなは…」
「俺は全然大丈夫だぜ、むしろこういうのわくわくするよなっ!」
ガシッと、陽キャに肩を組まれる。ちょっと痛い。
「そ、そうだな…斎藤君。でも、やっぱり無理はいけないよ」
「佐藤くん、それは違うよ、僕たちはこの世界の救世主だ…責務を全うしないと…」
「先生は、残るのに賛成だ。この世界に一人でも残る者がいるのなら、私はこの世界に残ろう」
すると力を振り絞ったような、か細い声で女子が言う。
「先生…わたし、怖いです。だから、もとの世界に戻ります…」
「私もです…委員長はどうですか…」
「私は…残るわ。何より、この人達だけじゃ不安だから」
「「そう…ですか」」
そして。結局もとの世界に戻ることのなったのは女子二人だけ。残った女子数名と、男子、そして先生はこの世界でやっていくことにした。
「じゃあ、また会いましょう…」
「うん!またね!二人とも!」
残った人たちは二人に向かって手を振る。
やがて二人は扉を開け、黒い空間の中に消えていった。
【それでは、早速ですが、
突如俺たちは一人ずつ、面を覆われた者について行かされた。
適正を…計るときだ…
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