足音と恐怖

天川裕司

足音と恐怖

タイトル:足音と恐怖


私はマンションに住んで居て、

今エレベーターが故障中。

だから階段でずっと上がって行かなきゃならない。

高層マンションでこれは結構きつい。

私が住んでるのは7階で、

今日もロビーから階段をずっと上がって行った。


でも上がっていた時、「ん?」となった。

私のヒールの足音にズレて、

足音がもう1つ聞こえた気がする。


構わず気にせず上って行ってもやっぱり音がする。

少し勇気を絞ってバッと振り向いても誰も居ない。

「…………」

しばらく階段の下までじっと見ていたが

やっぱりずっと誰も来ないので、

誰も居ないと心を落ち着け、また上ってゆく。


その時、うまく説明できないけれど、

何かが私の隣を通り過ぎたような気配がした。

少しギクっとした私。

でも気を取り直し、部屋まで。


(部屋)


「はぁー疲れたぁ…」

なんとかいつもの平常心を取り戻し、

日常に返ろうとした私。

でも本当の恐怖が訪れたのはその直後。


玄関を入って通路を歩き、リビングに着いた途端、

カーテンがバッと開いた。

「えっっ??!!」

と本気で恐怖し後ろにたじろぎ、

全身が固まったような感覚の中、

私はそのカーテン向こうの窓に釘付けになる。


息をするのも忘れながらその窓の外を見て居た時、

「ぎゃっ…ギャアアァアァ!!」

首吊り●体がいきなり窓の向こうに現れたのだ!


それから数分後、私は目を覚ます。

どうやらあまりの恐怖で失神してたみたい。

私はすぐにそのマンションを引っ越した。


(その後)


それから今、私は都内のアパートに住んで居る。

今度は高層住宅なんかじゃなく、背丈の低いアパート。

でも時々ふと考えるのだ。


「あの時は部屋に居られなかったなぁ」

あの夜は部屋をすぐに出て行き、

都内の簡易ホテルに泊まった。


「…でもあの首吊り●体、やっぱり変だったわよね…」


元住んで居たあのマンションの屋上には

確かに手すりがあったけど、

もしその手すりにロープをくくり付けていたなら

あんなぶら下がり方は絶対しなかった。

必ず窓に密着していた筈だと思う。


それにあのとき上階の部屋には人が住んで居て、

いたずらであんな事をしても多分同じ。

あの●体と私の部屋の窓の間に

1メートルほどの間隔があったのだ。


それに上の住人が

いたずら感覚でそんな事をするなんて、

それまでの付き合いからして考えられない。

実際そんないたずらをして

その人に何の得があるのだ?


あのロープはどこにつながって居たんだろう?

そう考えるとやはり霊的な何か…

と言わざるを得ない私であった。


それに階段を上って居たあの時、

後ろから聞こえた足音…

あの足音と何か関係があったのか?

あの足音の主はもしかするとあのマンションで…?

そして通り過ぎた感覚…?

あれは私の部屋にもしかすると

先回りしてあんなことを…?

何もかもが未だにわからない。


何はともあれ、もう絶対あんな体験はしたくない。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=-kWkKsCu_8E

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足音と恐怖 天川裕司 @tenkawayuji

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