~会議室にて~

「どうですか? 今回の参加者の子たち」


「なんか、めちゃくちゃ凄い子いなかった? なんか、こう、ダンスも歌も初心者なんだけど、すごく華がある感じの」


「え、あの子って初心者?」


「そうそうそう! 多分、私とヤマさんが思ってる子は一緒ですよね? なんか、あの子初めてのオーディションらしいですよ。今回が」


「え、マジか。え、本当に初なの?」


「はい。ちゃんと事前アンケートで初オーデションに丸ついてました」


「えぇぇ、マジか。え、でも歌とかダンスとかも一度も習ってないの?」


「はい。習い事系一度もやったこと無くて、歌とダンスは家で練習してたらしいです」


「やばいね。マジで俺一瞬本当のプロの人かと思ったもん」


「え、え! 待ってください二人とも。その子って、私全然分からないんですけど、どの子ですか?」


「えー、朱雀ちゃん現役アイドルでしょ! なんか、魅力感じる子いなかった?」


「あぁー、いました。皆、歌もダンスも一生懸命頑張ってるなぁ~って印象だったんですけど、その中でもダンスが飛びぬけて上手い子がいました!」


「お、やっぱり私たちが思ってる子と一緒じゃない?」


「ちょっと待ってください、私名簿表みたいなやつ今日持って来たんですよ」


「流石ー!」


「えっと、どれの子だろう。あ、この子です! 私が凄いなと思った子。田中雪ちゃん?」


「あ! 私が想像してた子と違うわ」


「その子も確かにダンスすごく上手だけど、俺的にも一番凄いのは田中さんじゃないわ」


「え、誰ですか? Sakiさんとヤマさんの言う凄い子って」


「えっとねー、あ! この子!」


「川野さあなちゃん? ですか?」


「そうそうそう! その子歌もダンスもプロレベルだった子!」


「ヤマさんもですか?」


「うん。なんか身にまとってるオーラが他の子とは少し違う感じがしたんだよね」


「えぇー! そうなんですか! でも、私この子もいいなと思いました。この、山田二子ちゃん! 他の参加者の子たちは、ダンスと歌のテスト動画では片方だけ簡単な方でもう片方は難しい曲にしてた子が多かったじゃないですか。この子は二曲とも難しい方選んでいて、しかもちゃんと歌って踊って、表情もちゃんと曲に寄せてたんです! それが凄いなー、って思いました!」


「あぁ! いつもニコニコって言ってた子でしょ? 朱雀ちゃんのグループにも似たような子いなかったけ?」


「私のところにいるのは、山田ミコです」


「もしかして姉妹?」


「いや! 全くの他人です。多分。うちの山田も、こっちのニコニコちゃんも出身地違いますし、うちの山田は一人っ子なので」


「へぇー、そうなんだ」


「この参加者の子たち、結構見た感じ歌もダンスも初心者な子が多いね」


「この子たちって、みんな本当に一回も事務所に所属したり、芸能活動したことがない子たちなんですよね?」


「うん。プロデューサが言ってたから本当らしいよ。スタッフ総出で、過去の活動とか色々ネットで調べたんだって」


「へぇー、じゃあ本当に一般人ってことか」


「なんか、今回のオーデション応募の段階で結構、事務所に所属していた過去がある人とか沢山いたんだって。だから、そういう活動とか一切してなくて、最低ラインが学校のパンフレットに顔と名前が載ったってレベル。なんだっけ、あ、この子。この一城美奈乃ちゃんが、このオーデション参加者の中で唯一ネットに名前と顔が出ている子。高校のパンフレットと公式ホームページの所に載ってるらしいよ」


「えぇー、Sakiさん結構知ってますね!」


「まぁ、私気になったことはとことん突き詰めたいタイプだからさ」


「えぇ、なんか怖いです」


「なんでよー!」


「撮影って明日からだよね、本当に台本とかないんだよね?」


「うん、台本も進行も私たちと参加者の子たちには一切教えてもらってないからね」


「Sakiさん、進行についてはプロデューサさんに聞いたりしなかったんですか?」


「いやいや、聞いたよー。流石に気になって。でも、やっぱり番組の進行上先の展開を教えてあげることできないって言われた」


「えぇー、そうなんですか。なんか緊張しますね」


「え、なんで朱雀ちゃんが緊張してるのよ」


「ハハ。でも、俺も緊張するかも」


「ヤマさんもですか? もー、三人で頑張りましょーよ!」


「まぁ、でも、参加者の子たちの方が俺たちより緊張してると思うからさ。俺たちは、まぁ、大人として落ち着こうよ」


「私は最初から落ち着いてますよ!」


「私は、もうお腹痛くなりそうです」


「朱雀ちゃんは薬飲んで!」


「はい、ちゃんと沢山準備して挑みます!」


「Sakiさんは緊張しないの?」


「あー、はい。緊張というより、ワクワクの方が強いですね」


「えぇ、すごい!」


「だって、歌もダンスも素人レベルの子が多いでしょ? だから、これから先の成長というか、どんな風に化けてくれるんだろう。っていう楽しみとワクワクで溢れてる」


「確かに。皆の成長が楽しみですね!」


「俺的には、結構大きく化ける人材が沢山いると感じる」


「えぇー、誰ですか?」


「いや、これいちいち説明すると長くなるから、また今度ね」


「その今度の日は撮影始まってますよ! 今教えてください!」


「えぇー」


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