第29話 苦手ではありました
まず腹部に衝撃が走った。
痛みを感じる一瞬前に、
気がつけば私は地面に転がっていた。仰向けに寝転んだら、建物の隙間から青い空が見えた。
投げ飛ばされた衝撃は少なかった。
そのまま
手慣れた動作だった。どうやらかなりケンカ慣れをしている様子だった。
「
「う、うん……」
今の
「そんなことないよ。ありがとう。助けてくれて……嬉しかった」それは事実なのだろう。「……ごめん……警察、呼んでくれるかな」
「う、うん……」
それから
「まって
「ダメです」答えたのは
「それを決めるのはあなたじゃないでしょ……!」
「そうですね……じゃあ、警察でも同じことを話してみればいい。あなたが教壇に立つ資格があると思われたのなら、あるいは見逃してくれるかもしれません」
ならば熱意は通じるだろう。私の熱い気持ちを伝えたら、きっと警察も感動するに違いない。
「私……あなたのこと、嫌いじゃなかったんですよ」
「……そうなの?」
「苦手ではありました。でも……嫌いじゃなかった」その違いが私にはわからない。「目的のためなら、どんな犠牲を払ってでも突き進む。年齢なんて関係なく、理想を追い求め続ける。そんな姿は……尊敬してました」
……
「でも……あなたはやり方を間違えた。少なくとも私が見逃せない方法を選んでしまった」……やり方を……間違えた……「もしも次があるのなら……今度は違うやり方を試してみてください。遅いなんてことは……ないと思います」
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