第17話 ご安心を
どんなときでも冷静で、大勢の大人に囲まれても怯えることなく自分の意志を伝えられる。
そんな姿には憧れてしまう。
ともあれ職員会議は終了した。結論として『明日から平常の授業が行われる。クラスへの対応は各教員に任せる』というものだった。
校長らしい日和見結論だ。対応は教員に任せたから、自分に責任はないと主張したいのだろう。
パラパラと教員たちが解散していく。中には職員室に戻って仕事を続ける教員もいたが、大多数はこのまま帰宅するようだった。
そんな中、
職員室を出ると、廊下を歩く
「
「……なぜ謝るんですか?」
「……私が職員室に残らせたせいで……」
会議が始まる前に帰っていれば、
「謝罪は不要ですよ。それより……ありがとうございます」
「……なんでお礼を言われたんだろう……」
「……先ほど……かばってくれましたよね」スキンヘッドの教員に怒鳴ったことを言っているのだろう。「私のために怒ってくれた、というのは素直に嬉しいです。ありがとうございます」
そう言って微笑んだ
照れ隠しのために言う。
「お礼なら……そうだね、私のこと名前で呼んでタメ口で――」
「それは無理です」
「残念」大袈裟に肩をすくめて見せて、「それで……どうするの?」
「犯人を見つけます。このまま冤罪を受け入れるのは面倒なので」
「……これはあなたを傷つける言葉かもしれないけれど……聞いてほしい」
「……なんですか……?」
「……人は間違える生き物なの。失敗することだってあるし、取り返しのつかないことをしてしまうこともある」人間は完璧じゃない。「……だからね……その……もしも
言ってから、慌てて付け加える。
「
生徒が、人間が失敗するのは当たり前のことだ。そんなことで見捨てたりしない。
「……ありがとうございます……」少し
「うん。わかってるよ」
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