第2話世界こそ滅び給え。

「………どーしよ。」

「どーしたの??」

「話しかけないでもらえますか。というか、どなたでしょうか。」

誰だよまじで。わからないんだよ。俺にとってみれば。他人も他人。家族とかいうクズな血縁ですらない。


「えー、釣れないなぁ。かわいいクラスメートなのに??」

「心底どーでもいいね。」

そう、僕にとってはどうでもいい。視界が全部灰色なんだから、どうでもいいでしょ。みんなも灰色になればわかるでしょ。多分だけど。



「ま、いっか。それじゃぁね。また学校で話そ??」

「お断りです。他の男に話しかけたらどうですか??みんな喜んでお話してくれますよ。ただ、ベットでですけどね。」

「そうなんだよね。だから嫌い。……ねぇ、君ってさ、私のこと恵まれてるって思ってない??」

図星も図星だ。大正解。

「………そうですね。」

「私は君が思うほど恵まれてなんかないよ。私が一番嫌いなものはわたしだから。次に、嫌いなものはクズ。」

「そ、じゃぁ僕のことも嫌いですよね。」

「………なんで??なんでそんな事言うの??」

「逆になぜそう思わないのでしょうか??犯罪者と呼ばれている僕が、ですよ??」

「さぁ、なんででしょ。………わたしはね、他人の言う事を信用してない。だから、常に自分の目で確かめるタイプなの。」

「それで??」

「だからね、わたしは―――――――」

「遅刻しそうなので失礼します。」

「ちょっと待ったぁああああああああ!!!!」

僕はそんな戯言もシカトして走っていく。興味ないからだ。どうでもいい。あぁ、なんで生きてるんだろう。死にたいなぁ。早く、屋上に行きたい。学校の屋上は人が来ない。それを利用すれば、うまく死ねるはずだ。人生なんて、クソ喰らえだ。世界なんて、滅びればいい。あぁ、そうだ。なんて、世界はゴミなんだろう。世界なんて滅びてしまえばいい。



なんて、考えていると、午前の授業が終わった。このあとはどうせすぐにさっきの良く分からない、興味のないきれいな女性が来るはずだ。さっさと屋上に行かないと逃げないと




屋上にて。

「なんで、先回りされて………」

「ふふっ、さぁなんででしょ??」

「戯言だと思うけど、愛がなせる技。」

「大正解。ってことで、君には生存権を与えよう。」

「必要ない。さっさとどいてくれない??邪魔なんだけど。」

「じゃぁ、君の考えを当ててあげるね??」

「好きにしたら??」

「世界なんて滅びてしまえばいい。」

正解。

「違うな。」

「ええ??あたってたと思ったんだけどなぁ。」

「たしかにあたってる。でも違う。」

「じ、じゃぁ、まって!!すぐ当てるから―――――――」

「必要ない。さっさとどいてくれない??邪魔だから。」

「ま、まって!!あなたがいないと、わたしは――――――――」

「心底どうでもいい。じゃあね。」

「まっ―――――――」




ってことで、飛び降りた。



「まっ………てって、いってるじゃんっ!!」



はずだった。

「なんで??ねぇ、なんで助けるの??」

「私を、あなたが助けてくれたからっ!!」

「記憶にない。」

「あるよっ!!君が私で、私があなただった立場が違ったけどっ!!」

「そう。記憶にないよ。どうでもいいことは忘れるタイプなんだ。」

「まってよ。私をおいて死なないでよ。」

「やだ。僕は諦めた。全部。」

「やだ、やだ、やだやだやだやだやだやだやだっ!!」

「子どもみたいに癇癪をおこすなよっ!!だからなんだ!?ヤだから何!?あぁ、そうだよ!?ぼくだって、死にたくないっ!!でも、しょうがないだろっ!?僕は『死ぬ』の存在なんだよっ!!」

「そんなことないっ!!わたしは、あなたを全肯定するのっ!!だから、死んじゃやだっ!!」

「知るか!!さっさと手を離せっ!!邪魔なんだよっ!!」

「じゃぁ、なんで離さないのよ!?死にたくないからでしょ!?」

あぁ、そうだよ??死にたくないさ。誰だって。そうやって、こうやって―――――――お前も、抗ったもんな。

「わかったよ!!今は死なない。でも、いつか絶対に死んでやる。」

「好きにしなよ。でも、私の目が黒いうちは許さないから。」

「好きにしなよ。僕は絶対にお前がいる間に死んでやる。」


これは、矛盾している僕らのラブコメだ。でも、まだらぶこめじゃない。そう、まだラブコメでも、なんでもない。ただの、意地の張り合いだ。世界とか、なんも関係ない。自分と相手との――――――矛盾した約束だ。



結論、世界なんて滅びてしまえばいい。

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