第2話 降臨   2

「主よ領主とゆうのは目立ちすぎでありますし、わたくし目までを巻き込むのはご勘弁を」


「まあ、よいではないか。つかの間の休息を楽しめ、それに儂に使えることがお主の勤めであろう」


「そうではありますが…。そもそも世界の理を書き換えるような魔術など非常識すぎます…」

 諦めたように返事をする優男だった。


「それはそうとイブル様、時が止まってる間に随分と色々書き換えていたようですが…」


「此処におられましたか我が偉大なるマイロード!」

_筆頭補佐官である貴様が居ながら執務を中断させるとは!」

 優男が主に話しかけていると、豪華な馬車が目の前に止まり大声で老人が怒鳴ってきた。


「!!ユリトゥス大司教??」

 優男は、突然あらわれた敵対者であるワーデンに連なる高位な教会関係者に思わず声をあげてしまう。


「何を寝ぼけた事を言っておるのだ ネイク!マイロードと共にさっさと馬車にのらんか!」

 筆頭補佐官と呼ばれた優男は、思うところもあったが主と共に馬車に乗り込むこととした。



「イブル様ご説明を…」まだまだまくしたてる老人を無視し、主に取り合えず説明を求める。


 そして再び世界が凍り付くと、徐ろに男が語り始めた。


「そもそもこの儂が仮にもこの地に降り立ったからには、この地の支配者の地位が相応しいのはわかるな??」


「ええ、イブル様の格で言えばその通りでございます。しかし…」


「この地、自由都市バビロニアの領主程度で我慢をと思ったのだが…何故か領主よりも権力があり広大な敷地の中の壮大な教会をみて、交換してしまえば良いと思ったのだよ」


 自由すぎるあるじの言葉に優男ネイクは頭を抱えるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

邪神の領主さま いちごはニガテ @xxitigo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る