第3話 新たな決意

#### **シーン1:久保五郎左衛門の塾**

**背景:** 晩冬の朝、塾の庭では、梅の花がほころび始め、まだ冷たい風が吹いている。塾の生徒たちはそれぞれの席で、先生の授業に真剣に耳を傾けている。


**登場人物:**

- **伊藤博文**(12歳)

- **久保五郎左衛門**(塾の先生)

- **吉田稔麿**(友人)


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**久保五郎左衛門:**

(黒板に字を書きながら)「勉強とは、ただ書物の中の知識を吸収するだけではない。いかに実生活でそれを活かすかが大事だ。それができてこそ、真の学問者である。」


**伊藤博文:**

(黒板を見つめながら、心の中で)「実生活で学問を活かす…か。父上が言っていたことと同じだ。僕はどの道を選べばいいんだろう…?」


授業が終わり、生徒たちは教室を出て行く。吉田稔麿が博文に近づいてくる。


**吉田稔麿:**

「博文、なんだか最近悩んでいるように見えるけど、どうしたんだ?」


**伊藤博文:**

(深いため息をつきながら)「家計が苦しいから、父上は僕に早く手に職をつけるように言っているんだ。だけど、僕は勉強も続けたいし、何が正しいのかわからなくなってきた。」


**吉田稔麿:**

(真剣に)「それなら、両方やればいいんじゃないか?勉強をしながら、仕事を見つけることもできるだろう?人生は一つの道だけじゃなく、いろいろな選択肢があるんだよ。」


**伊藤博文:**

(驚きながら)「両方…か。そんな考え方があったとは…。」


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#### **シーン2:家の庭**

**背景:** 夕方、伊藤家の庭。秋山琴子(博文の母)は庭の片隅で洗濯物を干している。博文は庭に出て、母の背中を見つめながら歩いてくる。


**登場人物:**

- **伊藤博文**(12歳)

- **秋山琴子**(母)


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**伊藤博文:**

「母上、少し話がしたいんだ。」


**秋山琴子:**

(微笑みながら)「どうしたの、博文?最近、いろいろと考え込んでいるみたいだけど。」


**伊藤博文:**

(真剣な表情で)「僕、これからどうすればいいのかずっと悩んでいたんだ。家を支えるために、仕事を探すべきだと思っていたけど、勉強も捨てたくない。でも、どちらか一方を選ぶのが難しいんだ。」


**秋山琴子:**

(優しく)「博文、それは無理にどちらかを選ばなくてもいいんじゃない?あなたはまだ若いんだから、いろいろな経験を積んで、自分の道を見つければいいのよ。勉強も大事だし、家のために働くことも大事。でも、そのバランスを取ることだってできるはず。」


**伊藤博文:**

(考え込んでから、目を輝かせて)「そうだね、母上。僕は両方を大事にして、できる限りのことをしていこうと思う。」


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#### **シーン3:父との対話**

**背景:** 家の居間。伊藤直右衛門が机に向かって書き物をしている。博文がそっと部屋に入ってくる。


**登場人物:**

- **伊藤博文**(12歳)

- **伊藤直右衛門**(父)


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**伊藤博文:**

(少し緊張しながら)「父上、少しお話ししてもいいですか?」


**伊藤直右衛門:**

(顔を上げて)「どうした、博文?何か決心がついたか?」


**伊藤博文:**

(力強く頷きながら)「はい、僕はこれからも勉強を続けながら、家計を支えるための仕事も探していこうと思います。どちらか一方を捨てるのではなく、両方を大切にしようと決めました。」


**伊藤直右衛門:**

(驚き、しかし誇らしげに)「そうか…それが今のお前にできる最良の選択だろう。よく決断したな、博文。私もお前を支えるつもりだ。お前が何を選ぼうと、努力を怠らなければ、必ず道は開ける。」


**伊藤博文:**

(感謝の気持ちで)「ありがとうございます、父上。僕、これから精一杯努力していきます。」


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#### **シーン4:決意の道**

**背景:** 朝日が昇り始めた萩の街。博文が家を出て、新たな決意を胸に、道を歩き始める。


**ナレーション:**

「家族の支えと友の言葉を胸に、伊藤博文は新たな決意を胸に歩き出した。勉強と仕事、両方を大事にしながら、彼は自分の未来を切り開いていくのだった。」


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この第3話では、伊藤博文が自身の進むべき道について悩みながらも、勉強と家族の支えという両方を選択し、将来に向けて努力する決意を固める様子が描かれます。

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