#028

アンが振るった銃剣のナイフと、ノピアが持つ真っ赤な光剣が激しく火花を散らす。


ジェットパックで空中を動き回りながら、二人は何度も刃を重ね合わせる。


「お前こそなんだ? 私が声をかけたときはけして動かなかったくせに、連合国軍などに手を貸しおって」


「それこそお前が今言った死んでいった者たちのためだ!」


「死んでいった者たちのためというならお前は間違っているぞ。彼ら彼女らがもし今の世界を見たら、幻滅することがわからんのか、アンッ!」


アン、ノピア両者は言葉でも戦いでも一歩も引かず、さらに戦いは凄まじさを増していった。


「くッ!? 武器がやられたッ!?」


「そんな古臭いもので私のブレードを受けられると思ったのかッ!?」


だが、武器の性能の差か。


アンの持つ銃剣ではノピアの光の刃を受け切れずに破損。


壊れたインストガンを捨てたアンは、機械の拳を構えて距離を詰める。


ここでどうしてだがノピアは、ブレードを腰へと戻して向かって来るアンに拳を構えた。


装甲アーマードッ!」


ノピアの振り上げた右腕に白い鎧甲冑のような装甲が覆っていく。


これはマシーナリーウイルスの力による機械化――装甲アーマードの効果だ。


アンが右の拳を打つ。


対するノピアも同じように打ち返す。


機械の拳がぶつかり合い、その衝撃が二人のいる空中から周囲へと広がっていった。


「将軍ッ! なんでブレードやRELAY-Gを使わないんですかッ!」


そこへ地上からリョウガが飛んできた。


リョウガには何故ノピアが武器を使わないのかがわからない。


これでは、まるでアンに合わせて戦っているようだと思いながらも、上官を援護する。


「いけRELAY-Gッ!」


アンはノピアへ蹴りを放って離れると、ジェットパックの推進材の噴出を操作して空中で旋回。


向かってきたリョウガの背後へと回り、その背中にダブルスレッジハンマーを叩き込んだ。


リョウガの背負っていたジェットパックは壊れはしなかったが、その衝撃で彼は地上へと落下してく。


「オレだってウイルスに適合してるんだぞッ! なのに、なんであいつに対応できないッ!?」


落下しながらも叫ぶリョウガ。


アンがそんな彼に気を取られていると、いつの間にかノピアが彼女の眼前に現れていた。


それに気が付いたアンは、機械の拳を振り上げる。


「お前はマシーナリーウイルスをバラ蒔いているのかッ!? あのときの帝国の悲劇を繰り返すなんて、私は許さないぞ!」


「私はバラ蒔いてなどいない。自ら志願し、覚悟を持った者だけに使用を許可しているだけだ」


「その許可をお前が出せると、一体誰か決めたッ!」


ノピアはアンと同じように拳を振り上げ、再び空中で格闘戦が始まった。

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