#013
リョウガはそう言うと、腰に帯びていた柄を手に取った。
ブレシングはまだ武器を持っていたのかと、自分の甘さに内心で苛立つ。
だがそんな気持ちも、リョウガが手にした武器を見て吹き飛んでしまった。
「そ、それは……ピックアップブレードッ!?」
まるで目の前に絶世の美女が現れたかのように――。
ブレシングは柄から現れた光の刃に見とれている。
ピックアップブレードとは――。
ストリング帝国の初代皇帝であるレコーディ・ストリングが生み出したストリング流剣術で使用される光剣。
よくある鋼鉄の剣とは違い、ほとんど重さのない光剣を操るには、かなりの技術を必要とする。
しかし、驚くブレシングの態度からわかるように、ピックアップブレードはこの世界から姿を消していた。
最後にブレードが確認されたのは、今から三年前に存在していたアンプリファイア・シティという街でのみ。
それ以降は、連合国軍が所有していたものも含め、けして世に出ることはなかった。
それが、ブレシングの目の前にいる――ストリング帝国軍の准尉リョウガ·ワスプホーネットという男の手に握られている。
「何を驚いてんだよ、ブレシング中尉殿? 今のお前の顔、元カノの裸を数年ぶりに見た奴みたいになってるぜ」
「ブレードの開発技術は失われたんじゃなかったのか……?」
青い光を放つピックアップブレードから目を離せず、ブレシングは両目を見開きながら言った。
彼の反応がお好みだったのか。
リョウガはブレードを一振りして、ジェットパックを操作。
ブレシングの周りを動きながら、からかうようにその口を開く。
「オレも詳しいことは知らないんだよな。ほら、だってオレ階級低いし。それよりも続きをやろうぜ。お前はオレが会った中で、一番プレッシャーが強い感じかする」
ブレシングには、リョウガの言っているプレッシャーという言葉の意味が理解できないでいたが。
彼はブレードに見とれてしまってきた自分に反省をすると、再び銃剣タイプインストガンを構える。
(准尉という立場でブレードと持っているとなると、こいつは適合者なのか? だとしたら僕に勝てるのか? でも、それでも僕はッ!)
そう自分に言い聞かせ、先ほどと同じように相手の武器を破壊し、敵を無力化しようする。
だが、ブレシングが内心で考えていたことが、なんと現実に起きてしまう。
「機械化……?」
リョウガがブレードを持つ右腕に、次第に白い鎧甲冑のような装甲が覆い始めた。
これはマシーナリーウイルスによる力――その名を
「やっぱりお前は適合者ッ!?」
ブレシングが感じていた嫌な予感は、見事に当たってしまった。
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