#007

港から見える宇宙空間では、連合国軍のスペースバトルシップであるレインボーが一隻ずつ火に包まれていく。


ムーグツーの周囲にまるで守り神のように並んでいた大艦隊が沈んでいく。


メディスンは指にはめているリングタイプの通信機器を使って、大艦隊を指揮するイーストウッドへ連絡した。


「イーストウッド中将ッ! 一体どうなっているッ!? 相手は誰だッ!?」


ホログラム映像はなく姿のない声だけの通信で怒鳴り上げるメディスン。


回線に不具合があるのか、ノイズ交じりのイーストウッドの言葉が返って来る。


《ジジ……確認できた……紋章には……。ジジジ……バイオリンに音符が絡み合うものだったようだ……》


「まさかストリング帝国なのかッ!?」


メディスンが驚愕の声をあげた。


彼の口にしたストリング帝国とは――。


過去に世界一の科学技術を誇った強国だった。


だが今から十数年前の戦争で敗れ、その技術と権力は奪われた。


その後も世界の混乱は続き、連合国以前に世界を統べていたバイオニクス共和国――帝国に打ち勝った勢力が無くなった後に、再びローズ·テネシーグレッチ将軍が率いる帝国が台頭。


しかし、それも連合国の前身となった勢力によって滅ぼされた。


それからストリング帝国はストリング王国と名を変え、連合国の一部となった。


その後に、その中でも特に影響力のあったドクター·ジェーシー·ローランドが起こした電気回路で発達した犯罪都市――アンプリファイア・シティでの事件によって、イーストウッドは連合国軍内に特殊部隊ベクトルを設立。


ストリング帝国の残党狩りを目的に結成された部隊は、連合国軍内でもその権力を強めていった。


少しでも疑いがあれば罰するという強硬手段で、次々とストリング帝国と関りがある人間を処分していったベクトルではあったが。


ここへ来てどうしてだが、連合国軍へ帝国が襲撃をしてきた。


これはメディスンにもイーストウッドにも想像もしていない状況だった。


どこに艦隊を襲撃できるほどの戦力を隠していたのか。


そもそも誰が帝国を率いているのだと。


二人共、答えの出ない質問を互いに繰り返してしまっている。


《待て……。敵のバトルシップが確認できた。そこに見えるのは……スカーフをした男?》


「スカーフ……? 戦場にスカーフだとッ!?」


メディスンはイーストウッドの言葉を聞き、ストリング帝国を率いている人物が誰かがわかった。


それは、かつて彼が反帝国組織バイオナンバーとして戦った相手であり――。


そして、その後に味方としてバイオニクス共和国を救うために協力し合った男――。


「ノピア……ノピア·ラッシク……。彼が……が生きていたのか……?」

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