第7話 シグナルの覚醒
直人と佐倉は、無言のまま装置に向かって歩みを進めた。装置を起動することによって、彼らはシグナルの真の力、そしてそれがもたらす未来への干渉を試みることになる。未来を変えるという決断が、どれほどの影響をもたらすのかは未知数だったが、今や引き返すことはできなかった。
「本当にこれでいいのか…」直人は心の中で自問していた。だが、佐倉の隣に立つ彼は、意を決して装置のスイッチに手をかけた。
「これが唯一の方法よ、直人。」佐倉の声は静かで、しかしどこか重々しかった。彼女もまた、未来への干渉がどのような結果をもたらすかを恐れているのだろう。
直人は深呼吸をして、装置のスイッチを押した。低い機械音が室内に響き、装置がゆっくりと起動していく。スクリーンには無数のデータが流れ、光が一斉に点灯した。シグナルが本格的に動き出した瞬間だった。
「さあ、始まるわ。これでシグナルの真の姿が明らかになる…」
佐倉の言葉を聞きながら、直人はスクリーンに目を凝らした。そこには、複数の未来のシナリオが表示されていた。彼らが直面している未来は一つではなく、無数の可能性が絡み合っているのだ。それぞれのシナリオには異なる結末があり、いくつかは悲劇的な結末を示していた。
「これが…シグナルの力なのか?」
「そうよ。シグナルは単に未来を予告するだけじゃない。未来を作り出す力を持っているの。」
佐倉はスクリーンを指差しながら、続けた。「私たちが選ぶべき未来をここで選択するの。そしてその選択が、現実に反映される。」
直人は深く息を吸い込み、スクリーンに映し出されたシナリオを凝視した。あるシナリオでは、学園が大きな危機に瀕している。もう一つのシナリオでは、直人自身が危険な目に遭う。いくつもの可能性が目の前に広がっていたが、どの選択も完全な安全を保障するものではなかった。
「どの未来を選べばいいんだ…?」直人は戸惑った。
佐倉も同じように悩んでいたが、彼女は冷静さを保っていた。「私たちは、最も多くの人々を救う未来を選ばなければならない。それがシグナルの力を正しく使う唯一の方法よ。」
直人は再びスクリーンに目を戻し、最も安全と思われるシナリオを選び取る準備をした。その瞬間、装置が突然激しい音を立てて振動し始めた。スクリーンに映し出されていた未来のシナリオが急速に切り替わり、直人が選ぼうとしていたシナリオが消えた。
「何だ…どうなってるんだ!?」
佐倉も驚きながら装置のコンソールに駆け寄り、手早くキーを操作し始めた。「装置が何らかの外部の力に干渉されている…誰かが私たちの選択を妨害しているのかもしれない。」
その言葉に、直人は背後に鋭い視線を向けた。薄暗い部屋の奥、暗闇の中から冷ややかな目がこちらを見つめていた。男が再び現れたのだ。
「お前たちが簡単に未来を選べるとは思っていなかった。シグナルの力は、そんなに単純なものではない。」
男の声が響き渡り、直人の体は一瞬硬直した。彼の冷たい目は、シグナルが引き起こす未来の全てを知っているかのようだった。
「このままでは、どのシナリオも成功しない…」佐倉は苦しげに呟いた。
「どうすればいい?」直人は焦りを感じながら問いかけた。
「シグナルのシステムを手動でリセットして、外部からの干渉を遮断する必要がある。でもそれには…」
佐倉は言葉を詰まらせた。「リセットには時間がかかる。その間、私たちは防御を施さなければならない。外部からの攻撃に耐えるために。」
直人は一瞬考え込んだが、すぐに決断した。「やるしかない。俺たちはもうここまで来たんだ。何としても未来を守るために、リセットを試みよう。」
佐倉は直人の決意を受け入れ、コンソールに向かって手早く作業を開始した。システムをリセットするためのコマンドを入力し始める。直人はその間、部屋の入口に立ち、外部からの攻撃に備える準備をした。
「時間がかかるわ。リセットが完了するまで、ここを守って。」佐倉の声は緊張に満ちていた。
直人はうなずき、拳を握りしめた。未来を守るための最終決戦が、今まさに始まろうとしていた。
---
システムがリセットされ、シグナルの未来への干渉を無効化する作業が始まった。佐倉は手早く装置に向かって作業を続け、直人はその間、外部からの攻撃に備えて部屋を見張っていた。しかし、時間は限られている。シグナルの力が暴走する前に、彼らが行動を起こさなければ、全てが取り返しのつかないことになるかもしれない。
直人の心臓は緊張で高鳴り、何かが迫ってくるような気配が感じられた。背後から感じる男の冷たい視線、そしてシグナルの異常な挙動。直人は焦りを感じながら、次に何をすべきかを考えていた。
「リセットには時間がかかる…でも、待つしかないのか?」直人は自問した。
その時、男が静かに言葉を発した。「リセットが成功する保証はどこにもない。お前たちの選択が、全てを破壊するかもしれない。」
その言葉が直人の心に響き、彼は再び決断を迫られた。リセットを続けるべきか、それとも別の方法を模索するべきか…。
---
選択肢
1. リセット作業を続行する
- 直人と佐倉は、シグナルの干渉を無効化し、未来を守るためにリセット作業を続ける。外部からの攻撃に耐えながら、時間との戦いが始まる。
2. リセットを中止し、シグナルの力を直接使う
- リセットを諦め、シグナルの力をそのまま使って未来に干渉しようとする。これにより、結果を早く得ることができるが、その代償は未知数だ。
---
選択期限: 本日20時まで
コメントであなたの選択をお待ちしています。あなたの選択が、物語の結末を左右します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます