技術で概念を破壊する

空想自世界

第1話 なんじゃこりゃ、棒??

俺は冒険者だ。という設定の、ただのゲーム好きの高校生の谷川天智(やがわてんじ)。最近あるフルダイブゲームにハマっている。その世界ではHPなどのステータス値は存在せず、ほとんど現実と変わらないクオリティで冒険することが出来る。敵を倒す時もHPという概念が存在しないので、動物型、人型それぞれ現実と同じやり方でないと倒せない仕様になっている。出血もするので、致命傷や動脈を傷つけられると、大量出血で死に至る。リポップ可能なので、多少の痛みを我慢すればいくらでも冒険することが出来るのだが。


冒険には武器が必須になってくる。俺はロングソードを装備し、ダンジョンへ向かう。早速敵が現れ、俺はさっそうと倒し、アイテムや装備品を奪い取る。大型のモンスターが現れ、俺は武器を構えて切り込みにいく。ピキッ キリッ

ああ、まただ、耐久が無くなる。ピキパキッ

冒険を開始した途端武器の刀身にはヒビが入り、そのヒビが広がる音が聞こえる。パリッ

もうだめだ   バキャッ

刀身が折れると同時に鈍い衝撃が頭を打つ、、。


「っはぁ、、クソっ、まただ、また死んだ、」

使い方が荒いとは思わない、ただ単純に脆いだけなのだと、一時期思い込んでいた。だが最高の武器を使い、中盤の敵を相手するだけでこんなに簡単に壊れるのか??

てかここどこだ?


森にリポップしてしまった。座標がバグったのか、宿屋でポイントの設定をし忘れたのか?まあどっちにしろあのダンジョンから近いところだ、そう不便でもないだろう。薄暗い森を抜けるため、フラフラとさまよっていく。すると森の中に黄金の輝きが見え、思わず光の方へと走っていく。それは、最弱武器の「棒」だった。棒が金色に光っている、、なんで??

その棒を手に取り、ウィンドウを確認すると、ユニーク等級ではあるが、特に武器の状態に変化はなく、バフがかかったりデバフを与える効果もないようだが、なにか違和感がある。

「なんだこれ、」

グルルッ

オオカミが大量に湧いていた。棒に気を取られてしまって注意を怠ってしまった。持っているのは木の棒だけ、何とか応戦してみるか。と、襲いかかってきたオオカミの攻撃を避け、背中に振りかぶって一撃を入れる。一瞬怯むものの、倒すことは出来ない。しばらく応戦し、気絶させてその場を離れた。

この棒、何か分かった、『不可壊属性』だ。あれだけ殴っても壊れない武器は初めてだ、ウィンドウを再び確認すると『ユニーク:神の息吹がかかった棒』とあり、自動修復機能と無限の耐久性が備わっていた。

「この棒を軸に武器を作れば、耐久性が無限になるんじゃないか?」

淡い期待を抱き、加工場へと向かう。鉱石を加工し、棒を軸に剣を作成する。完成したのは、打撃特化の『レア:鉄の棒』だった。耐久も無限では無く、剣の形をしているせいか、打撃をヒットさせると、初撃のみ、数秒の混乱を与えることが出来る特殊効果付きだ。すごいが、いらない。その後何度か加工してみたが、無限耐久はつかなかった。さらに素材や形状によって効果付きの武器になることがわかった。武器が壊れると、軸にしていた棒がむき出しになり、そのまま棒として使うことが出来る。さらにその棒は刃物などで簡単に形を加工することが出来る。形を加工した棒は剣に限りなく近付けることができ、切れ味も再現することができた。なぜこんなものを運営は作りだし、あそこに置いていたのだろう。なんにせよ、加工状態が外れても武器として使えるのはありがたい。

「今から頭かち割りに行く!」

俺は性能に頼らない、戦術を使って、自分の経験と技量だけで勝負して、いつか世界を統べる冒険者になってやる!!!

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