祈りの家

黒い烏

序章


「とりあえず再生するよ?」


そう言ってパソコンをテレビに繋げ、操作する谷の顔は、少し高揚している風に見えた。


撮影をしたのが一昨日の4日、日曜日。

すでに0時を過ぎていたので正確には5日か。


いつも編集には時間がかかるというのに、こんなに早く見せたいということは撮ったそのままの映像なのではないだろうか。


きっと、いつもと違う何かが映っている。


そんな予感をここにいる全員が感じているはずだ。


動画を見るため、スマホの画面を消した時に自分の顔が反射して写る。

その顔は口元がニヤついていた。


あぁ、高揚していたのは自分も同じか。



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