無作為に人を傷つける者たちと、それに抗う者たち

白鷺(楓賢)

第1話 いじめは犯罪である

いじめは、明確に人を傷つける行為だ。言葉や暴力だけではなく、無視や陰口なども立派な加害行為に含まれる。それは精神的に深刻なダメージを与え、人の心を壊してしまうことさえある。いじめは単なる「子ども同士のケンカ」や「悪ふざけ」ではない。それは人の尊厳を踏みにじり、人生を狂わせる犯罪行為だと、私は強く思う。


私自身、かつていじめの被害者だった。学校生活の中で、集団から無視されることや陰で笑われることは日常茶飯事だった。逃げ場のない環境での孤独感と無力感は、言葉では表しきれない。何も悪いことをしていないのに、周囲の人間から無意識のうちに押し付けられる「悪者」のレッテル。それがどれほどの苦痛を伴うものか、いじめに遭った者にしかわからないだろう。


特に、いじめは加害者側にとって「ただの遊び」や「軽い嫌がらせ」であることが多い。それが被害者に与える影響を想像していない場合が多い。だが、その「軽い行為」が、被害者にとっては心を粉々に砕く行為であり、将来にまで深い傷跡を残すこともあるのだ。


ニュースを見ていると、いじめによる自殺やうつ病に苦しむ若者の話が後を絶たない。それは私が感じるほんの一部に過ぎない。実際には、声を上げられない被害者や、誰にも相談できずに苦しむ人々が無数に存在するだろう。特に日本では、いじめが文化的に深く根付いていると言っても過言ではない。その背後には、同調圧力や集団意識、そして個々の違いを許さない社会構造があると感じる。


もっと問題なのは、加害者が庇われることが多いという現状だ。いじめを見過ごす大人たちや学校、社会は、往々にして加害者を守る傾向がある。被害者は声を上げたところで、何の支援も得られず、孤独に立ち向かわなければならない状況が続いている。なぜこのような構造が社会に許されているのか、なぜ被害者はこれほどまでに無力なのか、私には理解しがたい。


いじめは決して「子どもの問題」ではない。それは人権を侵害する犯罪行為であり、社会全体で立ち向かうべき問題だ。いじめがなくなる未来を目指して、まずは「いじめは犯罪である」という認識を広めることが、最初の一歩だと思う。

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