異世界でもガチャが引きたい!(仮)
東雲うるま
第1話 知らない森
ある日、目を覚ますと、顔の前に光る何かが浮いていた。眠い目を擦り、改めてそれをよく見ると、ゲームでよく出てくるステータス画面だという事に気が付いた。
♦ ♦
【名前】 ソウタ・ホンダ
Lv 1
HP 10
MP 10
XP 0
スキル なし
♦ ♦
えっ? これがオレのステータスって事? 弱っ……運転免許はスキルじゃないんだ……って、これは、何なんだ? 夢かと思い、左腕をつかんで力をこめてみると痛みを感じた。
「夢…………じゃない? とりあえず、前が良く見えないし、これは今、邪魔だな。どうやって消すんだろ? う~んと…………消えろ! おお、消えた」
ステータス画面が消えて視界が良くなったので、立ち上がって改めて辺りを見渡してみる。そこは一度だけ行った屋久島を彷彿とさせる森で、すべてが緑一色で岩や木々、植物の全てが苔に覆われているとても幻想的な場所だった。
「うはぁ~きれぇ~~……って、ここ、どこ? 森?」
何か手掛かりを見つけようと、もう一度、辺りを見渡してみると、足元に何かが落ちている事に気が付いた。
「なんだろ? カード?」
そこには金色のカードが十枚と、銀色のカードが一枚落ちていた。それらを調べてみると、金色の方にはレアチケットと文字が刻まれていて、裏には説明も書かれてあった。
♦ ♦
レアチケットは1枚で1回、レアガチャが引けるアイテムです。
また、10枚をまとめて使うと11連ガチャが引けます。
排出確率
伝説レア 0.3%
超激レア 5%
激レア 25%
レア 69.7%
♦ ♦
そして、銀色の方にはプラチナチケットと刻まれていて、基本は同じだがレアチケットと違う所は排出確率で、超激レアが確定で当たるらしい。でも肝心の使い方と使える場所が書いてないんだよね……。でも超激レア確定とか凄そう。ちょっと、引いてみたくなるな。何が出るんだろう? そう思った瞬間、周りの景色が一変し、白一色へと変わった。
「えっ? …………ガチャガチャ?」
そこは真っ白な空間で、その広い空間にポツンと一台だけ置かれた豪華なガチャガチャの前にオレは立っていた。そして、そのガチャガチャをよく見てみると、プラチナガチャ! スキルオーブ、アイテム、武器、防具、召喚獣のどれか一つの超激レアが確定と書かれてあった。
「へぇ~……召喚獣とかも出るんだ。まあ、お世話が大変そうだし、スキルとかが無難なのかな……。よし! とりあえず、やってみるか! え~と、このチケットをここに差し込んで、ハンドルを回せばいいのか」
良いものを期待して、願いを込めてハンドルを回す。すると、小気味よい音と共にハンドルが回り、演出の音楽が鳴り響く中、取り出し口にカプセルが落ちる。カプセル自体はソフトボールぐらいの大きさで、さほど重量もなく武器や防具が入るとは思えないが、何か不思議な力が働くのかもしれない。
「良いのこい!」
そう言ってカプセルをパコンと開けてみると、虹色の光が溢れだし、それが収まるとカプセルは消え、銀色の玉が手の上にのっていた。その玉をあらゆる角度から観察をしてみたが、外見をみたり触ったところで、それが何か分かる訳ではないようだ。多分、スキルオーブ? もしかしたら、召喚獣を呼ぶやつの可能性もあるか……。
「ん~~っ……使ってみないとわからないパターンか……。多分、使い方はプラチナチケットと一緒で、使いたいと思えばいいと思うんだけど……。駄目だったら、それはその時に考えよう」
オレはオーブを両手で持ち、スキルが自分のものになるようにと祈った。するとオーブは両手から消え、スキルの情報が頭に流れ込む。おお、これはやっぱり、スキルオーブだったんだ……。
「やばぁ、これって大当たりじゃ――」
言い終わる前にまた、強制的に移動させられ元の森の中に戻された。あの場所では大当たりの余韻を楽しむ時間もないらしい。それでも、収穫はあった。中二病みたいで口にするのも憚られたが、もういいだろう。いいよね? 一応、もう一度、腕を強く握ってみる。……痛い。
「…………オレは今、異世界にいる……」
ぎゃあ~~~言っちゃった~! 恥ずっ! 誰かに見られてたら、一生その人に強請られるよ。でも、多分、間違いじゃない。過去の記憶は一応あるみたいだけど、何か大事な記憶がごっそり抜け落ちてるように感じる。昨日、何かあったんだろうか?
とりあえず、分かった事はここは異世界で、スキルや召喚獣っていうものがいて、それがチケットで手に入るって事ぐらいかな……。とりあえず、レアチケットがまだ十枚ほど残っているけど、まだ、システムがよくわかっていない時点で、使うのは勿体ないかもしれない。とりあえす、さっき手に入ったアイテムボックスに入れておくことにしよう。
その後、ポケットから出したレアチケットをアイテムボックスにしまう。流れ込んできた情報によると、出し入れはそう思うだけで出来るようだ。一応、初めてなので、ちゃんと入ったのかを確認する為に、管理画面を開いてみる。
♦ ♦
レアチケット×10
♦ ♦
アイテムボックスには中身を把握するための管理画面があり、今、入れたレアチケットも、ちゃんとそこに表示されていた。でも、本当にアイテムボックスを引けてよかった。これは大当たりだよ。まあ、何にしても、まずはこの森を抜けださないと、意味がないんだけどね……。とりあえずは、人を見つけて…………助けもらう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます