第56話 Day30★ Realization(認識)
Day30★ 夕方5時半 ちょいすぎ
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キャンプで動いている敵はいない
まずテントを見てみる
寝床のみ テントを畳み 布を持つ
そしてそれを天幕の近くに広げる
騎士の装備をはずしていき 使えそうなものを探していく
お金以外は特にないな
奪ったお金を布の上に
年配の男には勲章が服についている
服ごと剥ぎ取って布の上に
天幕の下には樽と木箱
木箱の中には野菜が入っている
馬と人間用か
ニンジンだと思われる野菜を取り馬に食べさせる
この辺は どの世界も同じなのであろう
樽の中には黄土色の液体が
匂いを嗅いでみる
男 :「。。。。。。。。。。。。。。。。。。」
これはもしかして?
男 :「。。。。。。。。。。。。。。。。。。」
大きいテントに入ってみる
角ウサギの毛皮が数枚 代えの服などが数枚
寝床用のフトンっぽいものが数枚
使えそうなものをとりあえず布の上に置いていく
騎士達の剣とかも
鎧はすでに幾つかかあるが サイズが違う為念の為に
そして死体は1カ所に集める
大き目のテントと小さいテントも組み立て式なので持って帰りたい
とはいえ、まずは野菜数個とリュックに入る分だけリュックに入れ
馬に乗り Scarの場所へ
真っ二つになったScarの死体
それを丁寧に丁寧に布に包んで家路へ
乗っていた馬を馬屋へ
リュックを降ろし 戦利品を置き
シャベルをとScarの死体を持って裏庭へ
2匹を今日埋めた隣に穴を掘り
Scarが包まれた布ごと穴に入れる
そして丁寧に土を被せる
男 :「In The Name of Jesus, Able,Noah, Samsong
(イエス アベル ノア サムソンの名において)
男 :「Rest In Peace My Pal(友よ 安らかに眠れ)」
次に野原の方を見てみる
男 :「。。。。。。。。。。。」
草をハムハムしているが馬3匹は逃げていない
男 :「Heeey(おーーい)」
声をかけると馬3頭が男に寄っていく
手綱を引いて3頭を馬屋の近くへ
そしてガレージからリュックを持って来て
幾つかの野菜を馬に食べさせる
茶色とブチ色の馬に荷台を引かせていたのであろう
荷車に繋ぐ用の皮の馬具が付いている それを荷車を繋ぎ
馬2頭と荷車でキャンプ地へ
樽、野菜の入った木箱、剣、テント、大きいテント、天幕
一度に全部は無理なので半分近く持って帰る
一度ガレージに荷下ろし
そしてもう一往復する
死体は死後硬直をしている
ただ 家から馬で20分の場所
いちいち埋める予定はない
が 通り道になるかもしれない為
日が沈んでいく
その中 森の中でたった一人
死体を移動している
1つ また1つと死体を移動していく。。。まるで罪人のように
男 :「。。。。。。。。。。。。。。。。。。」
そして残りの全ての戦利品を荷車に乗せて家路へ
途中 朝 釣りの為に行った川の近くに置いてある そりも回収
自分が食べるようのフルーツと野菜のみ取り出し
残りは馬に食べさせる予定だ
とはいえ 大量の量を食べる馬 それは 一日を通してであり
一度に食べられる量は決まっている
ただ この量があれば、2~3日は余裕で持つであろう
しかも野菜とフルーツはそのままでは腐ってしまうし
なら 馬に食べさせた方が良い
そして馬を4匹 簡易的な馬屋へ
野菜を数個 馬の前に降ろし 荷車を馬屋の前へ
飛ぼうとすれば飛んで出ていけるだろうが
簡易的な入口のドア代わり
ちゃんとした物は明日から作り始める
もし逃げられたら それはそれで仕方がない
***夕飯***
既にコヨーテはいない
その制限が無くなった為
豪華に冷凍庫からコヨーテのパックリーダーの肉を取り出し
グリルを用意し 解凍するのを待たないでグリルの上にして焼き始める
そして男はシャワーを浴びる
一日の疲れが お湯と共に流されていく
男にとって本当に長い1日であった
軽く体を拭いて
下着を着る
そして下着姿のまま冷凍庫へ
月が上がっていく
肉が焼ける音がする
冷凍庫から凍ったグラスを取り出す
そして樽の中の液体を汲み
おもむろに飲みだす
少し酸っぱめだが 充分 飲みごたえのあるエールだ
グラスを飲み干し、樽から もう1杯
火照った体に沁み
グラスで樽からもう1杯
グリルの前へ置き 座る
月明りの下、冷たいグラスに入ったエール、そしてグリルの肉の焼ける音
ふいに男は孤独感に苛まされる
今日1日で3匹のコヨーテを失うなんて
今日1日で人を殺すなんて
それも10人近く!
今日1日で何度も死ぬ事になるかと
今日1日で大きく色々 変わってしまった
男 :「。。。。。。。。。。。。。。。。。。」
エールを少し飲んでから
男 :「WHY? WHY??????!!!!!(なぜ? なんでなんだ!!)」
気が付いたら空に向かって叫んでいた
男の問いかけに答えは無い
思わず泣きそうになる
そしてグラスの中のエールに
冷汗が男の背中に流れる
それは本当に ちょっとした考え
酔っぱらい始めた男に
もともとコヨーテは毒を持っており 男にとってはいずれ厄となる
だから今日 死ぬべき運命にあったのでは
そして男には移動手段が必要だった
だからコヨーテと引き換えに馬が手に入ったのでは
そして男ひとりでは物を運ぶには制限があった
だから今日 荷車が手に入ったのでは
そして男にとっての初めての人殺し
そして男にとって この異世界での同胞としてのコヨーテの損失
それらに
だから今日 エールが手に入り 心を紛らわす為 今それを飲んでいるのでは
騎士が背後から切りつけてきた
あの時 とっさに前転で避ける事が出来た
ただ我ながら もう1度やれと言われても出来ない
全てがなるべくしてなっている?
神の意志 大いなる流れ
なるべくしてなっているのでは
男 :「Jesus (ジーザス)」
思わず神の御子の名を口にする
いや考えすぎだ
そう思いエールを飲み干すが
その思いが頭に こびりつき離れない
エールをもう1杯
飲み過ぎなのは分かる
でも今日だけは飲まないと やっていられないんだ!!
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