第39話 Day20 The sunbeam(太陽の光線)

Day20 朝5時 ちょいすぎ 

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昨日はあれから魚を更に2匹供物として川に浮かべて流していた

一匹は大きい魚と 一匹は身がびっしりしている魚の2匹

供物をずっと続ける事は出来ないと思っている

いずれか辞める時が来るであろう

でも今は少しだけ余裕がある

ならば一番上等な部分を捧げる

今自分が出来る最大限だ


それが感謝というものだ


そして供物を捧げた後 食事の前に祈り

そしてコヨーテと共に魚を頬張る

夜食として魚をたいらげた後 コヨーテに囲まれて眠りについた


まだ日が昇る前

喉の渇きの為 目が覚める

まず 森で軽く用を足す

川の水で手を洗い

次に焚火に再び火をつけて その上に網、その上に鍋でお湯を沸かす

川の水 そのまま飲んでも大丈夫そうだけど 念の為 沸かしておきたい


”ぐつぐつぐつ”


お湯を沸かしていると なんだろう? という感じで

コヨーテ3匹が薄目を開けてくる

ただ 問題ないと確認したのか また目をつぶり始める

この川の流れ

その為 風は上流から下流に流れるようになっており

突風や風の向きが変わる事が無い限り

コヨーテ達の鼻は下流側に対してはあまり当てにならない

とはいえ 野生のコヨーテが寝ているので危険はないだろう


そう楽観していた


上流は特に問題なし

森と対岸も特に問題なし

見上げれば星空

星座は全く解らないのだが

明らかに違う

自分の存在がいかににちっぽけかを知らしめる星空

そんな事を考えてから下流に目を向ける


空から下流に目を向けたためギリギリ男は異変に気付く

2つの金色の光が木の上にある事を


最初は蝙蝠かフクロウかと思ったが

いや 鳥にしては大きい

スコープで覗いてみる

殆ど真っ暗な闇の中 金色の目が2つ 何らかの生き物だ

鳥なら問題ない

でも鳥でなければ

安全装置を外し、ゆっくり、リロード


”カチャ   シュンコーン   カチャ”


真夜中の暗がりの中 

静かに 出来るだけ静かに リロードをするが

明らかに異質な人工的な音が鳴り響く

そしてその音でコヨーテ3匹が即 目を開け臨戦態勢に入る


”さらさらさらさら”

”ぱちぱちぱち”

”ぐつぐつぐつぐつ”

”フッ”

”ターン”


”ぎょ”

と鳴声が聞こえてから

”ぼてっ”

と木から落ちた音

と同時に 金色の目が木の間から


”カチャ シュンコーン カチャ”


今度は音を気にせず即リロード


たた 問題は 先ほどと違い金色の目が動いている

またじっと こっちを見てこない為

狙いを定める事が出来ない


そんな中 2つの金色の光が地面から近づいてくる


男   :「Ubu Scar Donahue GO!(コヨーテ達 行け!)」


その声と共にコヨーテ3匹が1匹の山猫を追いかける事に


だた男は知らなかった

この山猫たちは人間を襲い慣れている事を


コヨーテ3匹が川の下流 西側の山猫を追いかけている間

別の4つの金色の光が南側に現れる


そして ひたり ひたり と近づいてくる

男は直ぐコヨーテ3匹を放った事を後悔する

呼び戻すため声を上げて 獣を刺激する訳にもいかない

刺激した瞬間 間違いなく襲い掛かってくるであろう


2体1だとが悪い

そして男は炎なら相手が怯むのではと咄嗟に考え

キャンプファイアーから燃えている木を

熱いのを我慢して左手で取り出し 金色の光に向ける

暗がりの中 松明たいまつのような炎に映し出される

少しまだらがかかった模様

男は山猫だと判断する

そして火を向け続けるがまるで怯んだ様子はない

少し後ろに下がり

キャンプファイアーを挟んで2匹の山猫と対峙する


そして まるで示し合わせたように

まるで最初からそうであったように

1匹は左から もう1匹は右から 男に近づこうとする

左手には蒔 右手にはライフル

イーグルを取り出すには両手が塞がっている

それ以前にもう時間が無い

挟まれたら確実にやられる


どうする! どうする!! どうする!!!


男はゆっくりと燃えている左手の蒔を上にあげる

そして金色の目を 一瞬誘導した瞬間

キャンプファイアーに向かって蹴りを入れる


”ぐつぐつぐつ”

”ばっしゃーーーーん”

”ぎゅあーーーわーーーあ-ーーあーー”


鍋の煮えたぎった熱湯が右側の山猫に浴びせる形に

そして即 ライフルで左側の山猫に向かって撃つが


”ターン”


横に跳んで避けられる

そして味方が熱湯をかけられて騒いでいるのに

左側の山猫は男から目を切らさない


リロード? いや イーグルだ!


持っている薪を投げる

それも また横に跳んで山猫が避ける

山猫は男から目を切らさない

相手は確実に仕留めるタイミングを狙っている

そして男はそれが解っているからこそ

山猫への睨みをきかせたまま ゆっくりと行動を起こそうとする

ゆっくり ゆっくり相手を刺激しない動作でイーグルに手をかけた

次の瞬間

男の方が目を切ってしまう



それは日の出であった

暗がりの中の木漏れ日

キャンプファイアーの火で光には多少慣れていたとはいえ

まるで真っ暗闇の中 急に懐中電灯を浴びせされられたように

男は目をつぶり体を丸めてしまう

それをも まるで計算していたかのように

待ってましたと言わんばかりに 山猫は男の顔に向かって飛び掛かる

目を切った瞬間 ほんの少し 体を丸めている男

そして、そのガードをかいくぐり 飛び掛かった山猫


ただ山猫は木漏れ日の下を認識していなかった

川の流れにより匂いは抑えられている

そんな中1匹のコヨーテが闇に紛れ走りこんでいたのを

熱湯を浴びた山猫の声を聞いた瞬間

主の元へ駆けつける事を選んだコヨーテ


山猫が飛んだと同時にコヨーテもタイミングを計って飛びこみ

空中で山猫の首にかぶり付く

Donahueが山猫の首に食い下がっている


男が目を開くと

右には熱湯で喘いでいる山猫 左にはコヨーテが山猫に齧り付いている

男は即 イーグルを手に持ち安全装置を外し


”ドン”


まず 熱湯で喘いでいる山猫に止めを刺す

次にDonahueの前に行く

完全に山猫の首に齧りつているDonahueの前に行く


山猫の頭をイーグルで撃とうとしたが

これはDonahueの勝利だ!

Donahueの前で屈んで目線を合わせる


男   :「Donahue (ドナヒュー)」


そう名前を読んで 手のひらを見せパーにした手のひらをグーに

それを見たDonahueがありったけの力を込めて噛みつきを強くする


***数十秒後***

山猫の目から光が消える


朝日の下 口の周りを血だらけにしながらの真っ黒い獣

その獣の首に両手を回し


男   :「Donahue Thank You(ドナヒュー ありがとう)」


男は感謝を述べた

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