第2話 1st victim(最初の被害者)
3大発明を述べよ
そう問われても答えは様々である
時代と共に移り変わる人類を発展させた発明
それは車輪であり それは稲作であり それは通貨であり
それは剣であり それは火薬であり それは電気であり
それは電話であり それはガソリンであり それは資本主義であり
それは重曹であり それはテレビであり それは電子演算機であり
それはインターネットであり それはAIであり。。。。
そんな中 抗生物質という人がいる
抗生物質は多くの命を救ってきた
オウム病
現代でペットを持っている人が感染する可能性がある病気であるが
偉大なる発明の抗生物質
適切な抗生物質を投与すればほぼ完治出来る
ではその当たり前の抗生物質が無かったら?
致死率はだいたい15~25%程である
この数値は高いのか低いのか。。。。。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
鳥が井戸に落とし物をしてから9日が経った時
井戸の水は完全に汚染され、そして潜伏期間が終わり、村人全員に異変が生じた
最初に感染したのは鳥を脅かした老婆の家の家族である
4歳になろうとしている孫の発熱、そしてその父親の寒気
母親の食欲が無くなり そして老婆が寒気と関節痛に
その隣の家の老夫婦は共に頭痛を伴い寝たきりに
比較的症状が軽かったのが 村で裕福と考えられる焼き物屋台の大将はダルさ
村唯一の商店の持ち主は全身
銀賎を集めている少年は全く食欲がなくなり、強い吐き気に襲われる
そして その隣の家からは咳が絶えず聞こえてくる
「疫病だ」
村人の誰かがそう言った
最初に逃げ出したのは焼き物屋台の大将である
商売道具である屋台を荷車に、そのまま北にある町へ向かう
それを見ていた商店の持ち主も、その日の夜中、村人が寝静まる頃
馬車に乗せれるだけ商品を乗せて村を出て行った
屋台の大将は持ち前の身の軽さ
そして商店の持ち主は経済的余裕があったから直ぐに離脱できた
ただ 症状が発生してからまだ動けた者でも、家があり、家族があり
生活があるため逃げ出すことが出来ない者が
そして、症状が出ている重い体を気を振るって動かし 井戸の水を汲みに行く
そして感染源である水を そのまま飲み続ける
少しづつ 少しづつ 体が
***2日後***
免疫が弱い老夫婦が死亡した
この時 比較的軽症だった者が死体を適切に処理しておけば良かったのであろう
だが その比較的軽症だった二人は既に村から逃げ出している
ただでさえ 自分が症状に悩まされている
そんな中 村を見回る人間なんていなかった
いや いたとしても無理があったであろう
疫病と思われている、そんな中、人が死んだのだ
誰が好んで疫病で死んだ人に近づきたいのか?
近づいて、自分の症状が悪くなり、自分が死んだらどうするのだ?
そして ここから地獄が始まる
放置された死体は、死後硬直を起こし、腐敗ガスが溜まり
体内のありとあらゆる液体を垂れ流し、そして蛆の苗床となる
その次に来るのがとても厄介である死臭 それが村へと放たれる
ただでさえ症状で苦しんでいる
そして
その寝るという大事な行為は死臭という物によって無残にも打ち砕かれる
また死体放置は様々な厄を引き連れてくる
死臭、蛆、蝿だけでなく、更に追加の病気
そしてその病気の伝導士とも言われるネズミが
家の新しい主だと言わんばかりに
それが1件1件 まるでドミノの様に隣の家 その隣の家とドンドン広がっていく
死臭によって眠れず免疫も落とされ、命を落としていく
そして死体となり数日後、死臭を放つ
咳、うめき声、哭き声、吐く音、そして死体に群がる蝿の羽ばたきとネズミの足音
それらは大きくなるにつれ 死臭も広がっていく
そして音が更に大きくなっていく
それでも動けるものは村からの脱出を試みる
最後まで
逃げる者が逃げ、死ぬものが死に、諦める村人のみが
今 死臭漂う村の中で
朝10時半 ちょいすぎ 遠征6回目 20マイル西の村へ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「Easy Edgewater (落ち着け エッジウォーター)」
クロ馬にまたがり森を進むハンター
ガレージには埃を被ったバイクがあるが、燃料を無駄にするわけにはいかない
偶に動くかどうかの確認の為 エンジンをオンにするが
乗り続けるわけには行かない
いざという時のジェネレーターまたはチェインソーに使うための予備だからだ
シロ馬に乗って野原経由の方が村へは早く行けるのだが
この間、畑に現れたウルバリン
その巣、獣の巣の確認をしながら、森経由で移動している
男は森はクロ馬と決めている
村から約800ヤード(約700メートル)離れた場所で止まる
ライフルのスコープで兵舎を見てみる
誰もいないな。。。。。
流石に2度も襲えば居なくなるものなのか
そのまま村の住宅を見てみるが
男 :「。。。。。。。。。。。。」
人が全くいない
いや歩いている人もいないだけでなく、煙すらまったく上がっていない
男 :「。。。。。。。。。。。。」
これ以上みても埒が明かない
水筒に入っているコーヒーを軽く飲んでから再び馬に乗る
ぼさぼさ髪のハリネズミが居たらまた通訳を頼む予定だ
出店の串焼き 特にトウモロコシの丸焼きを買いたい
あとは調味料 香辛料等も入荷していれば
使う予定と価値が相変わらず判らないお金ならある
そんな事を思いながら馬に乗って走っていたのだが
村までまだ
糞尿の匂い。。。。それに。。。。。死臭だ。。。。
ハンティングをやっていたら度々出会う匂い
動物の死体が腐り、蛆がわき始めた時の独特の腐敗臭
首にあったタオルを口を中心として縛り即席のマスク代わりにする
どうする?
戦争に巻き込まれたか? いや騎士団が暴走したか。。。
少なくとも死臭は村から来ているのであろう
今すぐ回れ右をして家に帰るのが正解なのであろうが
男 :「。。。。。。。。。。。。」
ただ人がいないっていうのはチャンスでもある
ある意味 物を取り放題
死人に物は必要ないであろうし
でもリスクある。。。いやリスクの方が高い
死臭が漂う中 もう1度ライフルのスコープで見てみる
建物に被害はない
また血の跡もみられない。。。一体 何が起こったんだ?
馬に乗り村の入口へ
そこで馬をつなぎ止め 村に入っていくが
うっ。。。。。。こいつはキツイ!
リュックから替え用としてもってきた下着のシャツを
タオルの上から口を中心にぐるぐるまく
村に入ってから うめき声が聞こえる
覗いてみると 膝を抱えながら横たわり震えている
疫病か?
村の中心にある店はドアが閉まっている そして看板がある
が
相変わらずこの世界の字は読めない
まーいい
裏手に回りドアを蹴破る
男 :「。。。。。。。。。。。。」
匂いがきつい
蝿がぶんぶん飛んでいる
残された食べ物が腐っているのであろう
この店の主人が居なくなってから日が経っているな。。。
また荒らされたような形跡がある
いや正確には急いで物を持ち出した感じか
それでも香辛料
とくに塩とその後ろに隠されたようにあった胡椒が残ってたのはありがたい
リュックに詰めて馬のところまで、それを3往復し
パッと見、めぼしい物を全て運び出す
住宅からも取れれば取りたいんだが
うめき声が聞こえるって事はまだ生きている人がいる
また匂いが強いって事は中で死んでいる人がいる
1件1件 手早く見て回る
急いで逃げ出したような家、そこにある残り物を狙っているんだが
まーそんな 丁度いいのなんてないか
素直にあと1~2か月時間を置けば腐った死体ではなく白骨になっているであろう
その時に1件づつ見て回るか?
次に騎士の宿舎と兵舎へ
既に2回この場所は自分で襲っている為、まー騎士達はいないのであろうが
兵舎へまず向かうが
剣が数本、残っているのだが持ってったってしょうがないだろうし
特に必要な物はないかなーー
そして宿舎にいってみるが
うめき声が聞こえる
思わずコンバットショットガンを手に取る。。。
倒すのならハンドガンなんだが
狙いをつけずに撃てるショットガンのほうが割が良いと判断
ゆっくり宿舎に入っていくが 声は1人だけらしい
ゆっくり声がする方の部屋のドアを開ける
”きーーーー”
こういう時ってドアの開く音がうるさく感じられる
数秒まってから部屋の中へ
そこにはハリネズミがうずくまって震えながら寝ている
彼も疫病にやられたか。。。。。
最初にあった時は牢屋から男が彼を助けた
2度目にあったときは彼に助けられた
そういう意味では貸し借りは無い、清算された関係である
男 :「。。。。。。。。。。。。」
ゆっくり部屋を出ていこうと思ったのだが
彼が男に気づいた
そして
針ネズミ:「うーーーーーーーーー」
うめき声をあげながら手を伸ばそうとしてくる
男 :「。。。。。。。。。。。。」
数種類の抗生物質を含め、一通り薬はそろっている
でもそれで彼が助かるかどうかは分からない
それ以前に男の聖域に人を入れるのは好ましくない
針ネズミ:「うーーーーーーーーー」
それでもこっちに必死で手を伸ばしてきている
男 :「はーー」男はため息をつく
男 :「You are not dying here today」
そういってハリネズミのような髪の青年を起こす
が 髪になにか飛んでいるのが見える
毛虱だったら困るので彼には申し訳ないが
起こしたついでにバッサリ髪の毛をナイフで切る
そして手に付けるようの消毒ジェルをリュックからだし
ポンプの部分を取り外し ガバット少年の髪の毛に塗る
その後、少年を肩に抱えながら兵舎を後にする
なにか視線を感じる
振り返ってみるが。。。。。
気のせいか。。。。。
本当はここにいる間、もう少し色々調べたかったんだが。。。。。
ハリネズミを前 自分が後ろに座る形で
馬に乗り自分の家へ向かうのであった
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