第9話: 壁の建設

 昨日、ついに土台が完成した。木材と石材を組み合わせた、頑丈な土台は、俺がこれから長く住む家の基礎となる。しっかりとした土台ができたことで、次のステップに進む準備が整った。今日は、いよいよ壁の建設に取り掛かる日だ。


「さて、今日はいよいよ壁を作っていくか……」


 エルシルの森に差し込む朝日を浴びながら、俺は目の前の骨組みを見上げた。昨日までに柱も立て終わり、家の形が少しずつ見えてきている。この瞬間が一番ワクワクする。自分の手で一つ一つ作り上げていく喜びは、仕事に追われていた以前の生活では味わえなかったものだ。


「風通しと日差しを考えて、窓の位置も大事にしないとな。」


 今日は、木材と石材を使って壁を組み上げていく。森の自然と調和した家を作りたいという願いもあり、派手なデザインにはしないつもりだ。しかし、風通しや日差しの取り入れ方にはこだわりたい。この異世界では、自然の力が強いから、それをうまく活かしたいと思っている。


「まずはこの木材を使って……柱の間にしっかりと固定していこう。」


 俺は、スキル「無限素材創出」を使って集めた木材を柱の間に運び、壁を作り始めた。木材の感触が手に馴染み、作業は順調に進む。こうして作業を進めると、ただの材料が家へと変わっていく瞬間がたまらない。スキルを使えば一瞬で作業が終わるかもしれないが、俺はこの手作業を楽しむことにしている。自分のペースで、少しずつ進める作業には、特別な充実感があるのだ。


「石材も使って補強しよう……木だけじゃ耐久性が不安だし、石を入れることでしっかりした壁になるだろう。」


 風や雨に耐えるためには、木材だけでは心もとない。だから、石材も使って補強することに決めた。スキルで作り出した石を使い、壁の一部にしっかりと埋め込んでいく。石材を使うことで、家全体が重厚な雰囲気をまとい、自然と溶け込みつつも力強い印象を与える。


「ここに石材を入れて……これで少しは丈夫になるだろう。」


 木材の間に石材をはめ込みながら、俺はその感触に満足感を感じていた。強度のある壁を作るためには、こうした工夫が大切だ。壁がしっかりしていれば、住む人も安心して暮らせるし、自然の力にも耐えることができる。


「次は窓の位置か……風通しが良くて、日差しも入るようにしたいな。」


 俺は、少し離れたところから家全体を見渡し、窓の位置を慎重に考え始めた。この家は、森の中で静かに暮らすためのものだ。だからこそ、風や日差しの取り入れ方にはこだわりたい。自然と調和し、快適に過ごせる家を作るためには、細かな設計が重要だ。


「窓は大きめにして、ここに配置すれば……風が通るし、光も十分入るだろう。」


 木材を切り出し、窓の枠を作り始めた。風通しが良ければ、夏でも涼しく過ごせるし、日差しがしっかり入ることで、家の中が明るくなる。自然の力を活かした家作りは、こうして少しずつ形になっていく。


「よし、これで窓の位置は決まった。あとは、壁全体を仕上げていくだけだ。」


 窓の位置と大きさが決まると、次に壁の仕上げに取り掛かる。木材と石材を組み合わせながら、丁寧に壁を組み上げていく。手間がかかる作業だが、その分、完成が見えてくると達成感が増してくる。


「ふぅ……これで壁の基礎は完成だな。」


 一息ついて、俺は壁全体を見渡した。まだ屋根はないが、壁が出来上がるだけで家全体の形が見えてくる。柱と壁がしっかりと立ち上がり、家の骨組みが完成した。これで家の内部が外から守られるようになり、少し安心感が出てきた。


「次は屋根だな……雨や風を防ぐためには、しっかりとした屋根が必要だ。」


 壁が完成したことで、次に取り掛かるのは屋根だ。雨や風をしっかりと防ぐためには、頑丈な屋根が必要だが、どんなデザインにするかはまだ決めかねている。素材は木材がメインになるが、形や傾斜も重要だ。


「三角屋根にして、雨水が流れやすいようにするか……」


 屋根のデザインを考えながら、俺は再びスケッチを始めた。風通しを確保しつつ、雨が降ったときにしっかりと水が流れるような屋根にしたい。素材の準備はすでに整っているが、細かな部分にこだわりながら作業を進めるのが楽しいところだ。


「ふぅ、今日はここまでかな。」


 壁が完成し、家全体の形が見えてきたところで、俺は作業を一旦切り上げることにした。まだやるべきことは多いが、少しずつ進めていくことで、家は着実に完成に近づいている。この異世界でのスローライフは、こうして自分の手で少しずつ形にしていくことに意味がある。


 明日はいよいよ屋根の設計と建設に取り掛かる予定だ。



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