第六の日
すぐに聞こえなくなった木々のざわめき、鳥の囀り、生き物達の奏でる様々な音。
代わりに我が身が風を切る音、はためく服の不規則な音が耳を打つ。
天高く、雲を遥か眼下に見下ろし、空は蒼から深い瑠璃色へと変わり、どんどん冷たくなっていく。
まだ太陽が遠く頭上に、しかし地上よりもその姿がより大きく見えるところで、
星々の輝きが昼間にも関わらず辺りを微かに照らすその場所で、
一際輝く白いナニカを見た。
見つけた。アイツだ。
少女は本能的にそう思った。
そう思った瞬間ーー全身が粟立ち、頭髪が逆立ち、何故か途方もないことをしてしまったような、そんな感覚に陥った。
それでも口を開くことが出来たのは、少女に刻み付けられた、深い昏い感情からであっただろうか。
「そこに居たのか。クソッタレ。
返事は要らない。お前なんだろう?
言いたいことは色々あるが、まずはその面めちゃくちゃにしてやる」
辛うじて言葉に出来たのはそこまで。
憤怒と憎悪に塗れ、野生の獣のようになり、あとは呪詛とも怨嗟とも、ただの唸り声とも聞こえるような声を発して飛びかかった。
白いナニカーー神はただ一言
「 見よ 」
少女に向けてそう言った。
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